尾瀬は高山植物の宝庫ですが、その中でスミレの種類も比較的多いことが判ってきました。基本的な種類だけでも10種類はあります。
 その中でもオオバタチツボスミレは絶滅危惧種。チシマウスバスミレは本州では珍しく、またジョウエツキバナノコマノツメも至仏山や谷川岳にしか ないなど、比較的貴重で珍しいスミレもあり興味深いです。 そんな尾瀬に咲くスミレたちをピックアップして集めてみました。
 
 ●生育環境別に分けてそれぞれ専用ページとなっています。
 ●フォントのサイズなどによってはブラウザを最大にしないと入りきらない場合があります。
        
湿原でみられるスミレ草地、湿り気のある草地でみられるスミレ樹林下、林縁でみられるスミレ高山でみられるスミレ

 湿原でみられるスミレ

 オオバタチツボスミレ (大葉立坪菫)   スミレ科/オオバタチツボスミレ類

撮影地:下田代(2005.6)
生 育 地 北海道、本州では中部以北の高山に点在する程度の希少種です。
尾瀬では、日当りの良い湿地や湿原に生育しています。見本園、中田代、下田代、赤田代、大江湿原など主に湿原で見られます。
開花時期 6月頃
草   丈 25〜35pくらい
特   徴  北海道では普通に見られるスミレですが、本州では中部以北の山の湿原などに点在する程度と稀少な種で、絶滅危惧種に指定されています。
 といっても尾瀬では個体数が多くどの湿原でも見ることができ、木道の隙間から立ち上がって咲いているのを良く見ます。
 花は大きくて濃い紫紅色をしています。名前の通り葉も大きく目立ちます。また、タチツボスミレと名前はありますがタチツボスミレの特徴で ある櫛型の托葉では無いので、ニョイスミレに近い種であることが判っています。
見分けの
ポイント
花全体が紫紅色。大柄で2〜3pくらいもある。
葉が大きく株自体も大柄です。
葉柄の付け根の托葉は櫛状ではない。
各部の特徴
写真では見づらいですが花の側弁には毛が密生します。花の色が濃い紫紅色というのもポイント! 花の後ろの距も紫色で短いです。 葉も名前通り大きくて円心形。大きい割には柔らかい色合いの淡緑色です。 「托葉」は櫛状ではありません。ここがポイントです。
 
 
 
 ムラサキコマノツメ (紫駒の爪)   スミレ科/ニョイスミレ類

撮影地:尾瀬ヶ原(2004.6)
生 育 地 北海道、本州中部以北の低山〜亜高山に分布。
尾瀬では、日当りの良い湿地や湿原に生育しています。見本園、中田代、下田代、赤田代など主に湿原で見られます。特に中田代、見本園に多いです。
開花時期 6月頃
草   丈 20〜25pくらい
特   徴  ニョイスミレ類の一種ですが、これまで「ミヤマツボスミレ」と同一種されてきましたが、別種に分けられたようです。
 ニョイスミレより大柄で花は淡紅紫〜紫色をしており、ニョイスミレ同様に唇弁の紫条が細かく多いです。
 葉は、丸くて基部が重なるのも特徴のひとつです。また表面に微毛がまばらにあります。
見分けの
ポイント
花が紅紫色。
葉は丸くてお椀のような形。基部が重なる。
葉の表面に微毛がまばらにある。
各部の特徴
淡紅紫色〜紅紫色の花で側弁に毛が密生しています。 この写真のような鮮やかな紅紫色の個体もあります。 花の後ろの距は白く短いです。  葉は丸くて基部が重なることが多いです。表面にはまばらに微毛があります。
 
 
 
 チシマウスバスミレ (千島薄葉菫)   スミレ科/ウスバスミレ類

撮影地:尾瀬沼(2006.6.24)
生 育 地 北海道東部の低地の湿原、本州中部以北の高山の高層湿原に限られる稀少種。
尾瀬では、尾瀬ヶ原の極一部、尾瀬沼の極一部の湿原やオヤマ沢田代付近のみに分布しています。
開花時期 6月上旬〜中旬頃
草   丈 5〜8pくらい
特   徴  日本でも限られた地域にしか生育しない珍しいスミレです。尾瀬でも3カ所で確認されています。
 ウスバスミレに似ていますが、葉に微毛があること、縁の鋸歯がはっきりと尖る、地下茎で増えるという点で見分けられます。
 花は、白色、唇弁に赤紫の筋がはいる。側弁には毛がない。
見分けの
ポイント
花は白色。唇弁に紫色の筋がはいる。側弁に毛はない。
かなり小さい花です。 葉に微毛がある。
各部の特徴
花色は白色。唇弁には紅紫色の筋がありますがニョイスミレのように細かくはありません。
側弁の毛はありません。
横から見ると閉じ気味に咲いているのが良くわかると思います。 葉は円心形で縁の鋸歯が重ならないのもポイントです。 葉の表面裏などには微毛が沢山あります。
 
 
 
 

メインサイトはこちら