山歩きヘロヘロ日誌

2002年8月3日〜4日 夏の立山トレッキング

※画像にカーソルを乗せるとキャプションが表示されます。
☆8月2〜3日(晴れ時々曇り)
 [新宿−室堂ターミナル−一の越−雄山山頂−一の越−みどり池−雷鳥荘(泊)

 前々から是非行きたいと思っていた立山黒部アルペンルートに遂に行くことになった! 費用はざっと尾瀬の
2倍くらいと僕の山費用としてはかなり高額だ(^^;;

 新宿から夜行バスで室堂平まで直行便が出ているのでこれを利用することになった。尾瀬の夜行バスと違って
席と席の間隔が広く座席もクッションが利いていて非常に楽ちんであった。膝が伸ばせるのがありがたい。新宿
から室堂平まで約8時間の長旅だ。案の定あまり寝付かれずほとんど寝れないうちに立山の有料道路に入ってし
まった。ぐんぐんと高度を稼ぐと視界が開けて弥陀ヶ原が見えてくる。広大な弥陀ヶ原は尾瀬と同じ高層湿原で
あるが深い池塘などはなく尾瀬とはまた違った雰囲気がある、周りの山々は標高2800〜3000m級の山々
であり深山に囲まれた湿原という感じだ。やがて遙か向こうに荒々しい剣岳が見えてくると立山連峰や大日岳な
どが大きく迫ってくると室堂ターミナルに到着。
広大な弥陀ヶ原を進む 遙か向こうに荒々しい剣岳が見える
 ターミナルはホテル立山の1階部分に隣接しており、地下には黒部ダムへ向かうトロリーバスの発着場にも
なっているのだ。全ての交通の拠点というわけ。

 階段を上り外に出ると朝日がサンサンと降り注ぐ室堂平、そして写真を見て憧れていた立山の峰峰が大パノラ
マとなって迎えてくれた。素晴らしい!! 遂に来たのだ立山に!! 
 さて今回は僕一人ではなく会社の山歩き仲間と一緒、総勢5名、何故か僕が隊長となっている(^^;; メンバー
は様々で副部長に社長なんて方もいらっしゃいます。男3人、女2人という組み合わせだ。

 まずは腹ごしらえということで賑やかなホテル前のテラス?で朝食となった。近くには日本名水百選に選ばれ
ている「玉殿湧水」がある、飲んでみたがすこぶる冷たく美味しい!! 流石に名水百選に選ばれるだけのこと
はある。しかし、尾瀬の水の方が美味しいと思うのは僕だけであろうか?? 
美味しい玉殿湧水

 腹ごしらえをしていよいよ立山登山に出発だ。室堂平周辺は遊歩道が整備されていて歩きやすく迷うことはな
いがなにしろ初めて来た場所なので何度か来たことがあるT社長を先頭に歩く。でも、足の遅いT社長は直ぐに
後ろの方に後退してしまう・・・ まぁ、迷うようなコースでもないので第一の目標場所の一の越に向けて歩く。
整備された遊歩道の室堂平 これから向かう一の越と雄山が見える
 道中には数多くの高山植物が咲き乱れていた。確認しただけでも、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ハクサン
フウロウ、ミヤマキンバイ、イワイチョウ、ウサギギク、コイワカガミ、ミヤマリンドウ、クルマユリ、コバイ
ケソウ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ツガザクラ、アオノツガザクラ、
チシマギキョウ、コガネギク、タテヤマアザミ、ニッコウキスゲ?、ヤマガラシなどなど花は多いです。
アオノツガザクラ チングルマ コガネギク
 一の越への登りは整備されているので歩きやすいのだが結構急斜面なので思いの外キツイ・・・ 振り返れば
室堂平を一望出来、奥大日岳などの峰峰が展望出来る、目の前には荒々しい雄山がそそり立ち既に多くの登山者
が列を連ねて登っているのが見れる。あの急斜面を登るのか〜〜と少々暗い気分になってしまう。左には大きな
山容の浄土山迫る。真夏だというのにあちこちに残雪があった。
まだまだ残雪が残る 室堂平の向こうに大日岳
 それにしても、人が多い!! 見るからに登山者と見るからに観光客が入り交じっていてとても3000m級
の山の上とは思えない光景だ。上高地もこんな感じであった、道が整備され過ぎているので観光客もこんな上ま
で来れてしまうのだ。
 息も上がった頃、一ノ越に到着。ふぅ〜 風が心地よい〜 一ノ越は雄山と浄土山との鞍部で山小屋が1件あ
り雄山へのベース地点という感じだ。そして、この一ノ越はその昔、黒部ダムを建設するために資材を運ぶため
に立山側からブルドーザーなどで登ってきて残雪を利用して黒部まで下ったという場所でもあるが、黒部側を見
限りとても滑り降りられるような斜面ではない。相当な覚悟で下ったのであろう。
 十数分遅れてT社長とA女が到着した。2人とも疲労も溜まっているようなので、ここで折り返すかとも相談
したが、折角きたのだからということで予定通り雄山まで登ることになった。しかし、見上げる山道は険しく急
である。長い列が上まで続いている。登れるのか?? 必要なものだけを持ちザックをデポして登り始める。
一の越から雄山への山道を見上げる
 う〜ん、凄い山道だ〜!! ガレ場の痩せ尾根という感じ、不安定な足場は崩れやすく下に落とさないように
気を使う。なのに、上からガラガラと小石が落ちてくる、そこのオバはん!落とすんじゃねぇ!! と心の中で
叫ぶが聞こえるわけもなく・・・ 急斜面を黙々と登り所々にある祠を通過する。1つ広い場所に飛び出たので
後発隊を待つことにした。既に標高は2900mくらいか? 空気が薄くなって高山病が出てきそうな標高であ
るが今のところ大丈夫のようだ。遙か彼方の雲の隙間から槍ヶ岳が穂先を突きだしているのが見える。そうか、
こっちが穂高の方向か・・・とすると富士山もこちらの筈だが雲が多くて見ることは出来なかった。早朝は快晴
であったのだが、日が高く昇るに連れて高山特有の湧き雲が出てきているのだ。天気を大きく崩すようなもので
はないが展望が悪くなるのであまりありがたくはない、ただ、直射日光を遮ってくれるのでそういう意味では良
いのかもしれない。漸く到着した後発隊、かなり息が上がっているようだが、果たして山頂まで辿り着けるのだ
ろうか?? そんな後発隊を残して先発隊は出発する。まだまだ山頂は先の方だが、雄山神社の社務所が大きく
見えるのでもうそんなに時間はかからないだろう。ガシガシガシ、とにかく登る、登る人も多いが降りてくる人
も多くすれ違うのが大変である。
雄山の山頂はもうすぐそこなのだが・・・ 眼下に青々としたみくりが池とミドリ池が見えた
 なんとか雄山神社社務所前に到着するが、狭い社務所前は既に到着していた登山者でごった返していた。実は
ここは山頂ではなくもうひとつ高い頂が山頂で、標高3003m、ここに小さな雄山神社峰本社が建っているの
だ、立山は富士山、白山と並ぶ日本三霊山の一つで開山はなんと1300年前という話し。山頂の神殿は136
年前に建てられ風雪に耐えてきたそうだが、流石にくたびれて平成8年に建て替えられているが風雪強いこんな
場所に良く建ってられるものだと感心してしまう。やはり霊山の賜か? 山頂の神殿に登るには拝観料500円
が必要で払うと鈴付きのお札と拝観記念のチケットとお札が頂ける。そして、神殿には神主さまがいらしてお祓
いをしてもらえるというからありがたいことだ。お祓いが終わったら御神酒も頂ける。という至れり尽くせり?
 それにしても、山頂は6畳ほどしかなくここに神殿と多いときで30人ほどしか上がれないので、なんと入場
規制をしていたのにはびっくりである!! また神主は1時間くらいごとに交代しているようであった。
雄山山頂が間近に迫る 雄山山頂神殿。皆さん御神酒をもらってます。 山頂から大汝山方面
 漸く到着した後発隊と合流して社務所近くで休憩となった。眼下には室堂平が見え、雄山から連なる立山三山
とその向こうには剣岳が垣間見えた。まさに山岳の風景だ、尾瀬にはない風景がそこにはあった。立山の最高峰
は大汝山で3015mある。雄山からほんの直ぐそこなのだが、今回は時間が無いということで見送った。
 下のは雄山から見たパノラマ写真だ。クリックすると大きいのが見られます。雄山山頂の神殿が欠けているの
が残念・・・
雄山からのパノラマ

 登って来る登山者は絶え間なく、社務所前は更に混雑!! とても霊山とは思えない光景を後に下山となった。
登りもキツイが下山もキツイ!! 慎重に降りないとズリズリっと滑ってしまう。一つ間違えれば一気に500m
は滑落してしまうだろう・・・ 
 慎重に降りて一の越に到着。後発隊もほどなく到着する。予定通り一ノ越で昼食となった。お昼を食べている
と上の方で「怪我人がいま〜す、小屋の人に伝えてください〜」と大声がした、すかさずT社長が小屋に向かっ
て呼びかける、小屋の人が怪我人のいる場所を確認して1人登っていった。暫くして子供をおぶった男が降りて
くるのが見えた、子供が怪我したのかな? よくわからないうちにその男は我々のベンチの隣にきて子供をベン
チに寝かした、ちょっとぐったりしているようだが大怪我ではないようだ。暑さでクラッとして滑り落ちたのか
もしれないが・・・そこへ、この子の母親と見られる女性がもう一人子供を連れて降りてきた、特に怪我の事を
話すでもなかった・・・結局、さっきの怪我人というのがこの子供なのかどうか確認は出来なかった。
 昼食を食べて今夜の宿泊施設のある室堂平へと下山を開始した。かなり雲が湧いてきてはいるが崩れそうな雲
ではなくなんとか日中は持ちそうな雰囲気だ。途中の残雪で多くの人が歩くのに難儀していて数人が滑って転け
ていた、A女もその一人だ。3回ほど転けたようである。
 小一時間で室堂に到着。ベンチで休息後歩き出す。室堂平は平というからに平らに想像出来るが実際は起伏の
激しい地形で結構疲れる。ミドリ池やみくりが池の側を通るときは雷鳥がいないかと注視したが見られなかった。
ミドリ池から立山連峰 みくりが池と浄土山 雄山と浄土山を望む
 ときおり雲がとおり視界が悪くなるが、すぐに晴れる、こっちに来たときから硫黄臭かったが、その根元が見
える展望台に到着、眼下には水蒸気を上げる地獄谷が見える、ここから硫黄分を含んだ蒸気やガスが出ているの
だ。硫黄ということは温泉がある! そう、この地獄谷周辺の山小屋には温泉が引かれていてほぼ24時間入浴
可能なのだ。今回泊まる宿の雷鳥荘も温泉がある。
噴気を上げる地獄谷 雷鳥荘全景
 そんなこんなで少々低いところにある雷鳥荘に到着したのは午後4時頃、ほぼ予定どおりで隊長冥利につきる
というところだ(^^;; 今回はちょっと奮発して個室にしたので8畳ほどの部屋に5人とゆったりした状態でく
つろぐことが出来た。山小屋とはいってもお茶と茶菓子、浴衣までついているというほとんど旅館並み、しかも
温泉があり、石けん類も使えると言うから至れり尽くせりである。流石にエアコンはないが・・・
 温泉に浸かり汗と疲れをとる。夕食もなかなか豪華でおかずも多く満足満足!! 

 夕刻、雲が湧いてきたので夕焼けも無理かな〜と思ったが、外に出るとその雲に包まれた夕陽が幻想的に辺り
を照らし出していた。これはこれは凄い!! 夢中で写真を撮っているとノコノコとメンバーも出てきた。
 上空の雲と下層の雲が絶妙に絡み合って複雑な夕焼けのドラマが続く、やがて陽が大日岳に落ちると立山連峰
の峰峰も淡い朱色に染まり始める。美しい!! 霊山立山が染まってゆく・・・
幻想的な夕焼け 染まりゆく立山連峰
 このあんばいなら星空も期待できそうであった。午後7時過ぎ、皆さん疲れているということで早めの就寝と
なったが、流石になかなか寝付けない、それどころが、少々微熱が出てきてしまった。疲れのせいかな? とり
あえず熱さまシートをおでこに張って寝る。
 午後9時ころおもむろに起きて窓を開けると満天の星空と天の川が見えた!! おお〜!! 晴れたな〜!!
星が見えたら起こしてくれということであったので、静かに起こして外に出た、若干1名超熟睡中で起きず・・

 既に十数名の人達が外に出て星を眺めていた、天の川がくっきりと見える、先週に行った八丈島でも素晴らし
い天の川を見たけど立山のも素晴らしい!! 近年明るくなった尾瀬以上の星の数だ!! と、山の向こうで
時折光ものが? どうやら富山側の下界では雷が鳴っているようである。しかし、雲の上の立山は快晴の星空だ!
 早速、撮影を開始する。そのとき写した写真が下の写真だ。浄土山上空に伸びる天の川が綺麗だ。もう一枚は
雄山付近をズームアップしてみた写真だ。雄山をシルエットに星の軌跡が伸びる。なかなかいい感じに撮れた。
浄土山上空に伸びる天の川 雄山から星が昇る

 一通り撮して部屋に戻り窓から見える星を眺めつつ就寝となった。


☆8月4日(曇り時々晴れ)
 [雷鳥荘−みくりが池−室堂ターミナル−黒部ダム−信濃大町−新宿

 早朝4時、ふと目を覚ますと、ゴトゴトと音がする、雨戸が風に震えている音だった、外は昨夜の満天の星空
から一転して厚い雲に覆われ時折風が吹いていた。雨は降ってないようだが、天気は悪い。朝焼けの撮影を諦め
ウダウダと布団の中で過ごす。既に起き出した人の声や足音がする。やがて、メンバー全員起きて目覚めのコー
ヒーを頂いた。午前5時を過ぎても雲はとれなく今日は駄目だな〜と半ば諦めていた。少し外を散歩するが山々
は雲に隠れ見えない。
雲が多く冴えない風景だ・・・
 朝食を食べて出発の支度をする。今日は室堂平の散策をして黒部ダムに降りる予定だ。午前7時ころに小屋を
後に出発する。相変わらず雲が多いが時折青空が見える。。。もしかして晴れるのか?? 
ヨツバシオガマと別山方面。後方に剣岳が見える みくりが池からの遊歩道
 そのもしかしては現実となり歩き出して暫くすると一気に雲が空いて青空が広がってきた!! まだ山の雲は
取れないが、天気は良くなってきたのだ。晴れたら晴れたで暑くなるがどん曇りよりかは良い。晴れ渡った空と
爽やかな風が爽快な気分にさせてくれる。みくりが池の近くの窪地に雷鳥が多く見られるというT社長の言葉に
期待を膨らませたがまったく見られなかった。仕方ないので近くのベンチで休憩する。双眼鏡で雷鳥を探すが
結局見つからなかった。非常に残念である。見れなかったことでまた来なくてはいけないな!!と心に決めたの
であった。
 時間となったのでターミナルへ移動するとマラソン選手の谷川真理選手がいた、いたらしい。良く知らないの
で断定は出来ないが、下の写真の黄色いジャケットの人がそうらしいです。
谷川真理?? イワヒバリがすぐ近くで餌探し

 ターミナルからトロリーバスで大観峰に移動。わずか10分しか乗らないのに2100円もかかるというのに
は呆れてしまう。大観峰からは黒部ダムが僅かに見られた。ここらかは1本のケーブルで途中に中継塔がない
ロープウエイとしては日本一というロープウエイで黒部平へ降りることになる。駅では五平餅が売られていて
その香ばしい臭いに負けて買って食べてしまった。なかなか巧いですコレ!! 1本300円。
大観峰からの展望
 ロープウェイからの眺めも最高で、さきほどの駅がぐんぐん小さくなって後方の立山の峰が大きく広がって見
えてくる。よくパンフレットなどで見るあの風景がそこにあった!! 素晴らしい〜!! やがて黒部平に着く。
大観峰が遙か後方に望める 黒部平から大観峰 ケーブルカーで一気に黒部ダムまで降りる
ダムの湖も大きく見えるが放水しているダム本体は見えない。ここからは更にケーブルカーでダムまで降りるの
だ。急傾斜をケーブルカーグングンと下りおよそ5分で降りてしまう。トンネルを抜けると黒部ダム本体の上に
出る、ここを渡ってむかい側のバス乗り場に向かうのだ。夏のシーズン中は放水をしていて凄まじい勢いで放水
される様子が間近で見ることが出来大迫力である。時折虹も出たりする。下のは真上から見た写真だが毎秒10
〜15トンが放出されるということだ。それにしてもこんな巨大にものをよく作ったものだとつくづく感心して
しまう。NHKのプロジェクトXでその建造の苦労話を見たばかりだったので、なおさら感心してしまった。
放水中の黒部ダム ダム中央から放水を眼下に見る
 黒部ダムオリジナルの山いちごのソフトクリームというものを食べたが、美味しいのだが、今ひとつ何かが足
りない感じだ。これなら尾瀬の花豆ジェラートや八丈島の中田商店のアシタバソフトクリームの方が格上の美味
しさがあるなと。う〜ん、つまりは手作りの味と量産品の味の違いという感じかな??
 ダムからトロリーバスにのっておよそ30分で扇沢に到着。ここからは更に路線バスで信濃大町駅に移動し
JRで帰路についた。

 初めての立山黒部アルペンルートは天気にも恵まれなかなか面白い山旅となった。一番見たかった雷鳥が見れ
なかったのが非常に残念なので是非ともまた行きたいと思った次第だ。出来れば残雪の頃と秋に行きたい!!
残雪の頃は春スキーのメッカたそうなので是非あの立山の雪渓を滑って見たいと思った次第です。
しかし、関東からは高いですな〜



おしまい。。。