山歩きヘロヘロ日誌

2014年6月27〜28日  北岳

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登山日 2014年6月27日(金)〜28日(土)
ル ー ト 【前夜に出発】
 三鷹駅===高尾山口駅(22:00頃/22:10頃発)==(Kazuさん号)==芦安・市営駐車場
 ※車中泊。

■6月27日(金)(曇りのち小雨)
 芦安・市営駐車場(4:55頃発)==(タクシー)==広河原(5:50頃着)・・・広河原山荘(6:15頃/朝食)
 広河原山荘(6:30頃発)・・・御池小屋分岐(6:53分頃)・・・大樺沢二俣(9:00頃着/休憩/9:05頃発)・・・
 八本歯のコル(11:54頃着/昼食/12:15頃発)・・・トラバース分岐(12:39頃)・・・稜線分岐・・(上道)・・
 北岳山荘(14:25頃着)

  ※少し休憩後、稜線沿いなど散策。
  ※夕食後、就寝・・・

■6月28日(土)(曇り時々雨)
  ※早朝撮影は雨天のため無し。
 北岳山荘(6:35頃発)・・(稜線下道)・・・(トラバース道)・・・トラバース分岐(7:28頃)・・・
 吊り尾根分岐(7:50頃)・・・北岳山頂(8:10分頃着/休憩/8:25頃発)・・・両俣小屋分岐・・・
 肩の小屋(9:03頃着/休憩/9:10頃発)・・・小太郎尾根分岐(9:37頃)・・・右俣分岐・・・・
 大樺沢二俣(11:05頃着/休憩/11:10頃発)・・・白根御池小屋(11:40頃着/昼食/12:05頃発)・・・
 大樺沢二俣(12:25頃)・・・・御池小屋分岐(13:35頃)・・・広河原山荘・・・広河原(14:00頃着)
  ※タクシー定員待ち・・・。
 広河原(15:30発)===芦安・市営駐車場==(Kazuさん号)==地元の温泉===
 高尾山口駅===三鷹駅

同行者てばまる、kazuさん(山行は途中まで)

 

 

【前夜に出発】
 三鷹駅===高尾山口駅(22:00頃/22:10頃発)==(Kazuさん号)==芦安・市営駐車場
 ※車中泊。

■6月27日(金)(曇りのち小雨)

 芦安・市営駐車場(4:55頃発)==(タクシー)==広河原(5:50頃着)・・・広河原山荘(6:15頃/朝食)
 広河原山荘(6:30頃発)・・・御池小屋分岐(6:53分頃)・・・大樺沢二俣(9:00頃着/休憩/9:05頃発)・・・
 八本歯のコル(11:54頃着/昼食/12:15頃発)・・・トラバース分岐(12:39頃)・・・稜線分岐・・(上道)・・
 北岳山荘(14:25頃着)

  ※少し休憩後、稜線沿いなど散策。
  ※夕食後、就寝・・・

 南アルプスの北岳(3193m)の山頂付近に咲くというキタダケソウを見たいと兼ねてから思っていたが、なかなか実現せず昨年やっと計画した ものの悪天候で断念・・・ ならば今年はと計画。過去3度キタダケソウを見に登っている尾瀬仲間のkazuさんと同行することになった。 やはり何度も登っている人と行くのは安心感がある。なにせ北岳に登るのさえ初めてでそのアプローチも長く急な残雪歩きに岩場、落石と 不安な事ばかりである・・・

 予定では金曜日〜日曜日の2泊で余裕のある行程だったが土日の天気が良くないので金曜土曜の1泊に変更。ギリギリまで天気予報を見てから 決行と決まった!!

 木曜日の夜、高尾山口駅でkazuさんと合流し中央高速で一路甲府方面を目指す・・・。談笑しながら走るとあっというまに甲府盆地に入り 一般道に降りて芦安温泉に向かう。電車とバスだとそれなりにかかるけど車で来ると意外と近いのにはびっくりだ。
 途中のコンビニで買い出しをしてどんどん山が迫る道を進むと芦安温泉に到着だ。今夜はここで車中泊である。

 芦安から先はマイカー規制の為乗り換えることになるが北岳方面や甲斐駒仙丈ケ岳方面のバスやタクシーもここから出ているので中継地でも ある。駐車場にはすでに何台も停車しているが平日なのでとても少ない。土日はもっと凄いことになるとのことだ。

 明日はいよいよ北岳、アプローチも長いのでしっかり仮眠しておきたいので早めに就寝となった。

芦安の駐車場。向かい側の施設で温泉も出来る。
 未明からぽつぽつやってくる車の音と開け閉めするドアの音がやたらに響いてなかなか寝付けない・・・ やっとウトウトしたと思う頃には 白み始めてはていた・・・うーん・・・
 明るくなると余計に仮眠していた人が起き始めてパタンパタンと寝ている状態ではなくなってしまった。結局、記憶がない時間は1時間も なかったかもしれない・・・完全に寝不足だ・・・こんな状態で登れるのか不安いっぱい・・・

 夜叉神峠登山口のゲートが空くのが5時半、まだ出ないはずのタクシーが4時には早々とやってきてお客を集め始めた・・・ 平日で人も 少なく8〜9人集まらないと出発しないので後れを取ると6時のバスまで出発できなくなりそうなので、バタバタと準備をして乗り場へ・・・
 すでに2台出てしまい、残っているのは数人・・・こりゃ出ないかと思ったけどすぐに集まってきたので出発できそうだ。
 季節雇用の爺さんドライバーはとても不慣れでわたわたしている(^^;) 利用者協力金100円を合わせた1200円を払い乗車してタクシーは出発。

 くねくねとした道をぐんぐん標高を上げながら登ってゆく・・・雲は多いが天気は大丈夫そうな空模様だ。眠くてウトウトするが寝付けないのが わたしの性格・・・(+o+) 爺さんドライバーはこのジャンボタクシーも初めてのようで空調が冷房になっていてとても寒かった・・・おまけに トンネルでもライトが点灯してるのかわからないまま走っていて乗客から指摘されていた(^^;)大丈夫かこの爺い!!

車窓から山々が見えてちょっとテンションも上がる!
 そして、ゲートのある夜叉神の森へ・・・ 先の2台も停まっていた。案の定ゲートのスタッフに早すぎると文句を言われていた・・・
 結局ゲートを少しはやめて開放したものの40分くらい待たされた感じだ・・・やれやれ・・・

 狭い南アルプス林道をひたすら走る・・・トンネルも多く、大雨のたびに崩れたりする難所の道のようだ。
 どんだけ走っただろうか? 急にガスが切れて残雪抱く山が見えてきた! おお〜 どうやら間ノ岳の稜線のようだぞ! 眠いけどちょっと テンションが上がる!!

広河原に到着。この付近の登山の基点になる。
 ぐらぐらと揺られること30分あまり、奈良田からの林道が見えてくると程なくして広河原に到着である。
 広河原には立派なインフォメーションセンターの入った建物があった。夏場の週末ならごった返すのだろうけど今日は平日でもありとても 静かだ。ここからは北岳や鳳凰三山へも登れるので降り立った登山者は身支度を整えるとどんどんと出発していく・・・

 さすがにヒンヤリとして肌寒い・・・ ここで朝食してもいいけどこの先の広河原山荘で食べましょうとkazuさん推奨ということで移動する。
 すぐにヤマレコなど北岳のレポートでも必ず出てくる吊り橋を渡る・・・なるほど〜これがそうなのね・・・と感激。初めての山はなんでも 新鮮に見える。
野呂川に注ぎ込む大樺沢。奥に北岳が見えるはずなんですが・・・。吊り橋を渡ります。 河川近くにひっそりと建つ広河原山荘。
 下を流れる野呂川を見ながら渡る、晴れていればここからも北岳が見えるそうだけどガスで見えなかった・・・稜線は晴れてるといいな〜
 広河原山荘は森の中に立つ雰囲気のある山小屋だ。テントは場もあるのでここを基地にする登山者も多いみたいだ。
 山荘で登山届を提出。とりあえずシャリバテしないように朝食を頂いた。

北岳への登山口。苔むした登山靴がいい感じだ。
 さーて腹も満たしたしそろそろ行きますか〜と歩き出す!! いよいよ北岳登山である。登山口近くの石碑?のところに登山靴が置かれていて 苔むしていた。なかなかステキ!だけど誰が置いたのだろう? 
 ドキドキとワクワクが入り混じりながらヒンヤリとした針葉樹の森をいきなり登る・・・ 少し苔むした林床がいい感じでのっけから 紅いランがないかと探してしまう・・・。

クルマムグラ常に沢の音が聞こえるルートだ。
 クルマムグラ、オククルマムグラ、タニギキョウといったか細い花も多いが花が小さいのでピントが合わないのでいまひとつ撮る気がしない(^^;)

 初めてのルートだし最初から飛ばすとバテるのでかなりゆっくりと歩き進んだ・・・。

 つねに左手に沢の音が聞こえ大樺沢沿いを登る感じだ。沢の上部は雪渓なのでそこから溶け出す融雪水が豪快に流れ下っていた。

大樺沢と白根御池の分岐。
 少し一汗かく頃、白根御池小屋への樹林のコースと大樺沢ルートの分岐に到着。先行していたグループが休憩していた。今回は最短ルートなので 八本歯経由なので大樺沢ルートでここからは左へ進む。ひとまず水分補給も兼ねて休憩だ。  まわりの木々はちょうど新緑、標高は1600mくらい、山頂は3193mなので標高差は実にまだ1600mもあるのだから気が遠くなる。
 尾瀬でたとえれば尾瀬沼から燧ケ岳まで標高差約800mなのでそれの倍だ! うーん登りきれるだろうか・・・なにより高山病が心配だ・・・。
 kazuさんもこのところ普段からふくらはぎの調子がよくないとの不安を口にしていた。

 先行グループも先に出て間が開いたのでこちらも出発。
 ここからはより沢に近いルートをひたすら登るようだ。沢沿いルートは花も多くバイケイソウやタチカメバソウ、カラマツソウ、オドリコソウなど いろいろ咲いていて気が紛れて良い。
沢沿いを進む・・・。クリンソウ オドリコソウ
 以前はクリンソウが沢山咲いていたという場所は今年は僅かに数本・・・枯れたのか盗掘か?5年ぶりのkazuさんもびっくりしていた。

 さらに登ってゆくと紫色の花が目に留まる、タカネグンナイフウロだ! 少し進むと道端にカモシカの白骨化した死骸が(T-T) 冬の間に 生き倒れたのだろうか? 南無〜 と、その近くにまたしたもタカネグンナイフウロとちょっと違うのも咲いている! 何とミヤマハナシノブ であった! どちらも初めて見る花だけど特にミヤマハナシノブは南アルプスと北アルプスの清水岳にしかない希少種である。この時期には まだ咲かないようでkazuさんも初めてみたそうだ。
タカネグンナイフウロ希少種のミヤマハナシノブ。 カモシカの白骨。

 しばらく進むと樹林を抜け沢沿いに歩く感じなる、そして急傾斜の沢が崩壊したようなところを渡る、このあたりはこういった場所が多い みたいで流されてもいいような橋が随所にかけられている。

 そろそろ、仮設の橋ですよとkazuさんの案内通り、ゴウゴウと流れる沢にパイプの橋が見えてきた。なるほどこれがレポにもある橋ね。このあたり からも北岳が見えるそうだけど生憎のガスである。稜線は晴れ撮ることに期待しよう!
小規模な土石流で出来たような沢。パイプの仮設橋を渡る。 ここ見える北岳はガスの中・・・。

 橋を渡り上流に向かって左岸の道を進むが、こちらも小さな流れが横切っていたりと野趣たっぷりなルートだ。花も多くヒロハコンロンソウ、タチカメバソウ、 何とかハコベ、マイズルソウ、ツマトリソウなど尾瀬でも馴染みのある野草が咲いていた。
タチカメバソウ沢の左岸を登る。 ミヤマエンレイソウ
小さな沢をいくつも渡る。
 段差のある道でそれなりに大変・・・

 そんなところに下ってくる高校生の団体!! ちょっと避けてると先に行ってくださいと道を譲られる が、辛い道を譲られてもね〜 しかも、長い!!コンニチハコンニチハの連続攻撃に2人ともグッタリしてしまう・・・ フウフウいいながら 進むが、疲れてきたので広いところで休憩して、先に下ってもらうことにした・・・。
 しかし、いったい何人いるのだろう・・・まったく途切れることがない・・・ しかも元気な高校生は走り下ってゆく・・・ 勢い余って 道から飛び出すバカも出るし・・・(^^;)

 結局この団体100人以上であった・・・ 尾瀬でもそうだけどもう少し別けて行動させてほしいものだ。

 やっといなくなったので、再び歩き出すが、kazuさんの様子がおかしい、ちょっとふくらはぎにピリピリきているみたいだ。 それでもゆっくりと進んでいくと、何年か前に大崩壊した斜面が見えてきた。あれのお蔭で一時大樺沢は通れなかった時期があったそうだ。

 いくつかの小沢を渡り進んでいると、突然、後方のkazuさんの「あっ!」という声が! 振り向くとうずくまっていた・・・ 痙攣がきた みたいだ・・・ かなり痛そう・・・ やはりふくらはぎのようである・・・
 しばらくストレッチしたりしてなだめていたが、何とか動けるようになったので歩き出す・・・ でも、また再発する可能性もある。しかも まだ行程は序盤である。上部の厳しいところでまた痙攣起こすと大変なことになるので、ここで下山しますと無念の決断をkazuさん自信が下した。 なんとか白根御池まで行って1泊してピストンでもいいのですが・・・ でも、それさえも自信がないというkazuさん。折角なので1人で上がって 下さいと言われるけど、気持ちよく「はい」とは言えない感じ・・・ それでも、ここで降りてしまうとkazuさんも申し訳ないと後悔も残るだろう から、単独で行くことにした。危険個所もあるので単独はちょっと不安はあるけど、仕方ない・・・

ツマトリソウ綺麗な声でコマドリが鳴いていた。
 それじゃ、行ってみます〜 と、まだ痛そうに下山するkazuさんに「気を付けて〜」と見送って再び歩き出すことに・・・。
 ふぅ〜 急に単独になって足取りは重い・・・

 無事に下山できるだろうかと心配になりながらもゆっくりゆっくりと登ると、綺麗な声のコマドリが鳴いていた。けっこう近いところに とまっていたので望遠レンズで撮影する。

もう一度パイプの橋を渡り返す。キバンノコマノツメ
 途中、で抜かれた2人組に、あれ?お連れの方はと聞かれてしまった(^^;) ちょっと下山しましたというと「ええ〜」とびっくりされて しまった(^^;) 説明する必要もないのでサクッと抜き去って先に進んだ・・・

 ほどなくすると沢に飛び出て、むむ? もう一度パイプの橋を渡るようだ。再び右岸に入り沢沿いの道を進む・・・。このあたりから ポツポツとキバナノコマノツメが咲き始めていた。

 こちらの道も段差があるがどんどん進むと、ついに雪渓が見えてきた!! いよいよか〜 と暫くは夏道を進むが、雪渓の方が歩きやすそうなので 雪渓を進むことにした。前方の山は相変わらず先はガスで見えない・・・。
 まだこのあたりは緩やかなのでアイゼンは付けずにザクザクと雪渓の上を歩けた。ひんやりした空気が漂い火照った体が気持ちいい。
いよいよ雪渓歩きだ・・・さーとガスが切れて北岳が見えた!
 山道と違い花もないのでとにかくガシガシと進む感じ。。。
 稜線は見えないけど両側にせり出す急峻な山肌が近くなってくるのは判る。

 するとガスがサーと引いて薄れていく・・・ 雪渓のかなり奥の方も見えてきた! 点々と人が登っているのも見えている。さらに、ガスが 薄れると北岳の稜線が見えてるぅぅぅ! やはり稜線は晴れてるのか? 俄然やる気も出てくる!

ついに北岳とバットレスが見えてキター(^-^)/
 ガシガシとさらに登ると、人が何人か休憩しているところにやってきた、どうやらここが二俣出会のようだ。とりあえず休憩じゃ〜と進んでいると、 急激にガスが消えて北岳が見えてきた〜〜!! キャ〜 バットレスぅぅ〜!! 奥が八本歯じぇねぇ?? すげ〜かっちょいいーと一気に テンションが上がる!! 休んでいた人も見えてるのに気づいて写真撮りまくり〜 こちらも撮りまくり〜(^-^)/

 再び歩きだし、二俣出会に到着〜 ふぅ〜 標識のあたりは雪も消えて岩も出ているので休憩には丁度いい。振りかえれば随分上がってきた のがよくわかる。向こうの山並みは鳳凰三山のようだけど稜線は雲でよくわからない・・・。
 ここからは傾斜もあるのでいよいよアイゼンの出番のようだ! まずは水分と甘いものでエネルギーを補給する。塩分が減ると筋肉が痙攣する ということなので塩分入りの飲料と梅干などクエン酸いりの食べ物を間食するといいので意識的に採るようにしている。

 久しぶりに10本アイゼンを装着!! とにかく今回のルートではこの大雪渓の上部とその先のはしごが一番の難所と思っているので気を抜かずに 行きたい!!

左俣をどんどん登る・・・振り返ると鳳凰三山に続く山々。
 ザクザクと雪渓を踏みしめて登りはじめた。右にも雪渓が伸びていて右俣と云われる。八本歯のコルは左俣を進む。
 天気も回復傾向なのか青空の見えてる時間も増えると雪渓が眩しいが、サングラスはつけずに登った。しばらくは緩い斜面だけどジグザグに登った ほうが楽なので意識的にルートを決めて登ってゆく・・・ 雪質はほどよい感じで6本爪でも問題ない感じだった。ただ所々にはクラストした 堅い部分があるのでそういうところは滑るので避けるようにする。

 暫く登っていると、ふいに動くものが!? 何と落石だ! 音もなくバウンドしながら転げてくる石ころはハンドボールくらいあるだろうか? これでも直撃すれば大けがの元だ。 上の人が「落石〜!」と叫ぶので僕も下の人に向かって「落石〜!!」と声をかけた。
 石は方向を変えることなく10mくらいのところを通過・・・ そのまま50m以上転がって大きな石にあたってとまった。
大きな岩もたくさん落ちている。落石帯突入!次第に両壁が迫ってきて緊張だ。 岩肌が高い!!
 落石を目のあたりにして、ちょっと緊張である。しだいに雪渓が狭まり聳える山肌が迫ってくるからだ、バットレスも随分と近くにみえるようになり、 カッコいい〜〜と思う反面、大きな沢が崩れてきたりしたらいやだ〜 と不安にもなる。

振り返ると随分登ってきたのが判る。バットレスが大きい!!!!
 落ちてる石も多くなり一番の落石地帯か?? 振り返ると遥かかなたに広河原が見えていた。むーん、いつのまにかこんなに登ってきたのね。
 サーとガスが切れるとバットレスが目の前に聳える!!! スゲ〜!!

 しかし先はまだ長い・・・ そして斜度もどんどん厳しくなってきて足取りも重い・・・ 少し脹脛も突っ張る気がする、ここで痙攣しては まずいので安定のいいところで何度も休憩を繰り返す。そのたびに、単独の熟年登山者と抜きつぬかれつになっていた(^^;)
 遥か下にも数名が上がってくるが平日なので少ないようだ。週末だと列になるのだろうな〜

 斜面は急だけと凍ってないので下まで滑落することはないように思えたけど、あの石たちにぶつかると大けがしそうである。
雪渓歩きももうすぐ終了。
 すると、カンッカンッと石が落ちる音がする! どうも低木の茂みの中を転げているようで、見えないのでドキドキしてしまう。ほとんどは 木々で止まってくれるようだけど・・・ うーん、怖い・・・

 やがて八本歯のコルあたりが視認できるようになる! うーん、もう少しかな? と思ったけど、どうもまだ左の雪渓を登らないといけない 感じに見える・・・ しかも急斜面!! かなり疲れてきてるので勘弁してほしいけど行くしかない・・・とゆっくりゆっくりと登る・・・
 と、先方の熟年オヤジが右に反れてゆき座り込んだ?? あれ? よーく見ると赤い印がいっぱい木々についていた、そしてハシゴが!!  なーんだ、この先の雪渓は違うのね・・・ 良かった良かった・・・ オヤジがいなければ夏道を見逃すところだった。ふぅ〜

ここから夏道だ。でもハシゴが・・・!いよいよハシゴ地獄の始まりだ・・・。
 オヤジが登りはじめる頃、こちらも雪渓から脱して夏道にとりついた。ふへぇ〜 疲れた・・・。
 もうこの上は雪はないと聞いているのでアイゼンを外してザックにしまった。そして休憩〜 しかし、いよいよ噂に聞くハシゴ地獄である。

 いちおう雪渓は越えたよとkazuさんにメールをする。11時か・・・ペース的にはどうなのかよく判らないけどコルまで上がればお昼かな?
 岩とハシゴなのでストックも仕舞いいよいよ出発!

 かなり傾斜のあるハシゴだし足置きの悪い丸太で疲れた足にはかなり辛い・・・ それでも、よいしょよいしょと登る。と、目の前にバットレス が聳えて素晴らしい!! 圧巻だ!! 少しガスが巻いているのがまたいい感じ〜!
バットレスを横目に登る!!キバナシャクナゲ コイワカガミ
 このあたりから花もまた増えてくる。綺麗なクリーム色のはキバナシャクナゲだ、コイワカガミやコヨウラクツツジなどが咲いている。
 さっきのオヤジは姿も見えず、一気に登ってしまったみたいだ、スゲェ〜!

まだまだハシゴ階段は続く・・・。
 するとメールが届いた。kazuさんからだ、何ともう芦安に着いてるとのこと! 早っ!! そして、途中でカメラ一式が入ったバックを置き 忘れたという衝撃的な話だ! 痙攣して別れたあたりに置いてしまい足の痛さに気をとられて広河原まで気づかなかったそうである。登り返す のは無理と判断してそのまま諦めてしまったようだ。うーん、まだ残っていれば同じ道を下るけど・・・ 難しいかな〜? もしかしたら 山小屋に届いてる可能性もあるので下山時に聞いてみることにしますと連絡を入れた。いやいや、無念の下山なうえにカメラまで無くしてしまう のはあまりにも辛すぎるので何とか見つけてあげたいものだ。
 そしてkazuさん、今夜は芦安に泊まるとのことで明日下山するのを待ってくれるとのことである、いやいや何だか申し訳ない気持ちでいっぱい であった・・・。ありがとうございますぅ〜

バットレスに向かって登るクライマーたち!振り返ると階段の向こうに大樺沢の雪渓が遥か下に・・・。
 ゆっくりゆっくりとハシゴを登るが遅々と進まない・・・ ちょっと見晴らしの良いところまで上がると登ってきた大樺沢の雪渓が眼下に 見えていた! うーんよくぞ登ってきたものだ! そして目の前にはバットレス!! よく見るとそのバットレスに向かって斜面を登る登山者が いた! クライマーの人たちだろうか? 凄い急傾斜のようで体の傾きが物語っていた。

 酸欠にならないように深呼吸をしながら登ると標識が見える! おお〜あれがコルだな!! と、ひたすら登ってゆく・・・
 そして、ついに八本歯のコル分岐に到着した(^-^)/ お疲れ〜 向こう側に見えるはずの間ノ岳は稜線だけ雲で見えない、北岳の山頂もちょっち ガスで見えにくいけど、ときおり先が見える、でもあれば山頂じゃないよね・・・と自問自答・・・。
八本歯のコルに到着!!まだまだ長い道のり・・・ トラバースから北岳山荘方面が見えた。

コルの南側は八本歯の頭が聳えていた。
 北岳の反対側のコルの先にもハシゴが見えている。八本歯の頭から続く池山吊尾根のルートだ。

 足元の岩場にはクモマナズナやミヤマキンバイなど高山植物が咲いていた。いよいよ稜線の花々が楽しめそうだなぁ〜ここを上がればキタダケソウが 待っているのだ!! ちょっと興奮しそうになるが、ちょうどお昼時間なのでここで昼食である。幸い風もなくときおり日差しもあり穏やかだ。

 ここで標高は2880m、それなりに空気も薄くなるが一番の難所を越えたという安堵感からか昼食もバクバクと食べてしまいもう少し欲しいくらい な食欲だった(^^;) 崖下には白い花が沢山咲いている、まさかキタダケソウ? でも望遠レンズで見てみるとハクサンイチゲだった。残念・・・  すると、すごい音が響き渡る! パンッ! ガラガラガラ・・・ そして人の声が? もしかして誰か落ちたのかと思いヒヤリとしたが、どうやら 大きい岩が割れて崩れた音だったようだ。大樺沢の方へ落ちたようである。恐ろしいかぁぁぁ・・・
崖下のお花畑はハクサンイチゲのようだ。クモマナズナ ミヤマキンバイ
 予報通り日中の天気はまあまあ良い感じかな、でももっと晴れてくれるといのだけど・・・ とにかく晴れているうちにキタダケソウを撮影 したいので、出発しますか〜とザックを背負う。すると上から音もせず単独の熟年男性が降りてきた。トラバースの雪渓は渡れましたか?と聞くと 大丈夫でしたという返答。良かった良かった。どうやら通れるようだ。

まだまだハシゴは続く・・・?可憐なツガザクラ。
 さて、ここらも暫くハシゴが続くみたいでずーと上まで伸びているのが見えているが、行くしかないのでゆっくりと歩き出した。
 尾根なので両側切り立ってはいるものの足場はハシゴ以外もしっかりしているので不安要素は無い。ただただ登る辛さだけだ(^^;) 辛いけど 高山植物がそこらじゅうに咲いているので気が紛れて良い。咲いたばかりのツガザクラが可愛い。キバナシャクナゲもどんどん増える感じである。
 夏のならシロバナタカネビランジも咲くのだろうな〜そのころにも来てみたいものだ。

イワベンケイの花はこれから。岩屑の道を進む・・・。
 イワベンケイは咲き始めだけど多肉植物のまるっこい感じが好きである。
 ハシゴはそれほど続かずすぐに岩屑地帯に入る。登山道がはっきりしないけど赤や黄色のペンキ印があるのでそれを頼りに進む。相変わらず 山頂の方はガスで見え隠れしてるし展望もイマイチだ。もう富士山とかも見えても可笑しくないのだけどその方面は雲だらけ・・・

トラバース分岐。真っ直ぐ上がれば山頂へ・・・。
 どんどこ、どんどこ岩づたいに進んでいくと、標識が見えてきた! どうやらトラバース分岐に到着のようだぞ! さーいよいよご対面の時が 近づいてきた〜とテンションが上がる。トラバースの雪渓が渡れなければここにデポして山頂から迂回と聞いていたけど、さっきのオヤジが 歩いてきたと言っていたのでこのまま向かうことにした。

 が、気持ちを落ち着かせるため? 一息入れる(^^;) すると山頂から数人の方々が下ってきた。話せばみなさんキタダケソウを初めて見にきた そうである。1人は単独、のこり2人は熟年の方と若い方で親子だそうだ。

 一服していよいよトラバースへ入る・・・ 暫くはハクサンイチゲなどが目についていたが、すぐに白い花を見つけた! キタダケソウだっ(^-^)/ ついに憧れのキタダケソウを目の前にしている!! うーん、これがそうなのか〜と予習はばっちりなのですぐに判った。すぐ横にハクサンイチゲも 咲いるけどまったく葉が違うので間違うことはない・・・でもさきほどの人たちは、半信半疑で見ていたので、判別の仕方をレクチャーして しまいました。わたしも初めて見るのですけど、なのにレクチャーするってどういうこと??(^^;)
遂に初めてのキタダケソウにご対面(^-^)/(^-^)/  谷に向かって咲くキタダケソウの大群生(^-^)/
 キタダケソウは、ちょうど満開のようで予想以上にいたるところに咲いていて、斜面の白いのはほとんどそうである。こんなに群生している とは予想外でちょっと戸惑った、絶滅危惧種だし点々とある程度だろうと想像していたからだ、とにかくそこらじゅうにあるのでホントびっくり!

突如現れたオコジョ!!
 とにかくここぞとばかりに撮りまくった(^^;) 一通り撮って谷川の群落を見てると遠いところになにやら素早く動くものが!? むむむ? あれはオコジョじゃないですか!! オコジョいますよ〜 と指差すけどどなたも撮影しようとはしなかった(^^;) みなさんキタダケソウの方が 大事のようである・・・ 僕はそういうわけにはいかないのですぐに撮影〜でも、標準ズームなので小さくしか写せない・・・ それでも等倍で 見るとしっかり写っていた! オコジョだ! まさか北岳でこいつに出会えるとは!

 思わぬサプライズで気を良くしてさらに進むが、ほとんとにキタダケソウだらけって感じ、これだけあると有難味が薄れる・・・それでも 新鮮そうなのをみつけては撮影しまくり〜 ときおりガスがきれて青空も見える。ただ、最後まで間ノ岳など山々を背景に撮りたれなかったのが 残念である。また来年来いってことかな??
岩の間にもキタダケソウ。  アップで撮影(^-^)/
ハクサンイチゲチシマアマナ シロウマオウギ
トラバース道、細いけど足場はしっかりしているので歩きやすい。
 トラバース道はキタダケソウだけではなくいろいろな高山植物の宝庫である、時期的にまだ少ないけど、オヤマノエンドウ、ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、 チシマアマナ、クモマナズナ、ミヤマタネツケバナ、シロウマオウギ、ミヤマムラサキ、チョウノスケソウ、ヤツガタケタンポポ、キバナノコマノツメ、エゾルリソウ、ウラシマツヅジ などなど咲き始めていた。

 7月の中旬になればもっと咲きそろい素晴らしいことだろうな〜 キタダケキンポウゲ、キタダケトリカブトなど固有種も 多いので是非その季節にも来てみたいと思った。

ヤツガタケタンポポミヤマシオガマ オヤマノエンドウ

このあたりも斜面にキタダケソウの群生が広がる。
 しばらく進むと、なにやら大きなザックのあんちゃんが斜面のキタダケソウの群生を眺めていた。なんだろうと思ったら、三脚を立ててザック から取り出したのは蛇腹式のカメラだ! 乾板というやつを使うタイプらしい。こんなものここまで担ぎ上げたのか! しかし、なかなか撮影 する様子もない・・・1枚の単価が高いのでかなりいい条件になせないと撮影しないのだろう。その傍らでちょこまかと動きパチパチとお手軽に 撮影してしまった(^^;)

 さきほどの3名は先の方へ行ってしまったようだ。まだ13時なので急ぐ必要もないしゆっくりと撮影をしながらトラバースを進む。kazuさんが 言ってた大岩のあたりだろうか定かではないけど、そのあたりにくると間ノ岳が見えそうになってきたのでしばらく待機するが結局駄目であった。 明日の午前中は天気はいい予報のはずなのでもう一度トラバース経由で山頂でもいいかもね。と思案する・・・。

難しそうに見えるけど簡単に通過できる。雪渓は雪切してあり楽々通過。
 しばらく進むと雪渓が見えてきた! でも情報とおりしっかり雪切がしてありとても歩きやすくなっていた。いや〜ありがたい!ここが通れない と遠回りしないといけないので助かる。
 雪渓を楽々通過してどんどんと進む、結局トラバースは予想より道もしっかりしてるので安心であった。

 しかし、時折見えていた青空も次第に見えなくなり再びガスが山頂付近を覆う。それでも、前方遥かに北岳山荘の屋根がチラチラと見えていた。 もう少しかな?

 岩岩の道に出ると稜線下と稜線上に別れているがどちらを行っても山荘には付ける、ちょっと迷って稜線上ルートに決定。
 歩きにくい岩道を進むとすぐに良く踏まれた道に出た。こちら側も雲は多くガスガスの稜線歩きであった・・・ 展望がないのが残念だけど トラバースとは違う花々が咲いている。イワウメ、コメバツガザクラ、イワヒゲやミネズオウはだ蕾だった。
二つの標識。どちらを進んでも北岳山荘には着ける。イワウメは咲き始め。 ガスガスの稜線を進む。
 北岳でもライチョウはいるそうなので、どこかにいないかとキョロキョロしながら歩き進むがまったく見当たらない・・・ オコジョも見てるので ライチョウが見れれば最高だけど贅沢かなぁ〜?と思いつつも探す・・・

北岳山荘に到着。
 そしてふいに赤い屋根が視界に入った! おっともう北岳山荘に到着である。周辺は残雪がまだ多く雪かきも進んでないみたいで除雪機が置かれて いた。テント場には数張りあるようだ。ガスが無ければ最高のテント場なんだろうな〜

 雪に足をとられながらも下り、山荘に到着。ふぅ〜 尾瀬の小屋とは違い入口はあまり開放的ではないのぉ・・・ 風対策かちょっと重たい 扉をあけると玄関ロビーだった。廊下には雑然と荷物やポリ容器が並んでいた。いかにも小屋明け直後って感じだ、

 

 受付の兄ちゃんの対応はなかなか良く、受付もテキパキとしてくれた。ガラガラに空いてるかと思ったけど、何と数十名の団体が入ってるとの ことで食事は朝夕とも2回目になってしまった。あてがわれた部屋もほぼ満員のようだ。むーん・・・。宿代は8700円とやはり増税されている。

部屋は8人部屋。【28日撮影。

玄関ロビー。【28日撮影。】

 部屋は2階の「農鳥岳」、さっそく入ると、なんと、トラバースで出会った3名が一緒だった、あ!どーもです〜とご挨拶、少し前に知り合った だけだけど知ってる顔がいるのは安心できる。しかも3人とも気さくな方々であった。親子はすでにお酒で一杯やっていた。
 寝る布団はすでに決まっていて番号で別れているので好きな場所というわけにはいかないが仕方なかろう。すでに受付している人もいるはず だけど散歩にでもいったのだろうか? ふと時計を見るとまだ14時半だった・・・ちょっと早く着き過ぎたかな?

 荷物を置き、しばし皆さんと談笑する。親子は北岳2回目だそうだ。後で判ったけどこの親子のお父さんは76歳だそうである。わたしもその年齢で アルプスに登れる体力を維持したいものだ。 単独の方もこの時期は初めてでキタダケソウがあんなに咲いてるとはとびっくりしていた。

 今年は雪が多く雪解けも遅れたので一斉に咲いたのであれだけの群生を見ることが出来たのだろうと、とてもタイミングよくこれたのだと 実感した。それなのにkazuさんが敗退になるとは・・・ おおそうだ、着いたことをメールしなくてはとスマホを見ると部屋でも電波が届いている ようだ!でもなかなか送受信してくれない・・・外じゃなきゃダメかな?

 すると耳寄りな情報を親子から聞く、来る途中でライチョウを見たというではないか! え? 稜線にはいなかったな〜とよくよく聞くと下の 道ということだ。あわわ、そっか〜下の道か・・・ 写真を見せてもらうが岩の上に乗っているまだ羽が生え変わり途中のオスのライチョウだ!
 まだいるかもしれないな〜 よし! 見に行って見ようとサブザックに必要なものを詰めてちょっと探しに行ってみます部屋を出た。

山荘の東側がテント場。

網で囲われた保護区。ここにもキタダケソウが咲いていた。

 外はさらにガスが濃くなり視界も50mくらいだ。少し風もあり雨もパラパラしていた。あらら・・・予報では15時ころから降りそうな感じ だったけどやっぱ降るのか・・・ 夕方に晴れるといいのだけど・・・
 ひとまず、電波の良いところでkazuさんと相方にメールを入れた。

 下の道はテント場と繋がっているのでテント場を視察がてら進む。テント場は階段状になってるようで一番端なら居ながらにして星空や富士山 を見ることが出来そうである! ここまで一式運び上げられるかどうか未知数だけど夏の小屋は大混雑なのでテントで来ないとですな。

 小雨がぱらつく中を進むがいきなり雪渓の上を歩く・・・ そうして進むと普通の道になりホッとした。はてさてどこらへんにライチョウが いたのだろう? 詳細に聞いて来ればよかったな〜と思いつつ視界の悪い中をキョロキョロするがなかなか見つからない。もうどこかに 移動したのだろうか? たまにちょろちょろしてるのはイワヒバリだ。

 ときおり雨も強まるので引き返そうかと思いつつもフラフラと進んでゆく・・・ すると、ひらけた場所に網で囲われたところが、そこには ハクサンイチゲやなんとキタダケソウも咲いていた。自生なのか移植なのか? あとで判ったがここのも自生だそうで、以前に保護のための ネットをすると言ってたのはここだったようだ。

ガスの中にライチョウがゆっくりと歩いていた。
 そして、ガスの中になにやら移動するものが! おお〜あれはライチョウではないですか!! ついに見つけました! 意外と大きいのには ちょっとびっくり、しかも近いとこに悠然といらっしゃる。近づいてもあまり逃げないという情報は本当であった。すかさず望遠レンズに 変えて撮影するけどガスが濃くてスッキリ映らない・・・それでも、チャンスなのでシャカシャカ撮影する。
 ライチョウの方もはた迷惑なのか、少しずつ遠ざかるように移動していた。そこへ、単独男性が通りかかる、ライチョウですよ〜と二人で 撮影してると、さすがに嫌気がさしたのか、いきなりグゲッと鳴いて飛んで行った! おお〜ライチョウの飛ぶ姿を見れるとはラッキー! でも 撮影は出来なかった・・。

 ライチョウもいなくなったので来た道を急ぎ足で引き返す・・・

 小屋に到着するがまだ16時・・・夕飯は18時45分が2回目なのである。もうすこし散歩するかと、稜線に出て中白根方面へとぼとぼと 歩いてみた。
 すると、急にガスが晴れて北岳山頂が見えてきた!! おお〜キタダケキタ〜〜〜〜(^-^)/ 歩いてきたトラバースや八本歯のコルも見えている! さらに 仙丈ケ岳も見えてきた〜〜 さらにさらに、間ノ岳もすっきりと見えるではないか!! おお〜神様ありがとう〜 このまま晴れれば夕焼けも いけるかも〜と期待が膨らむ!!

やっと北岳の全容が見えた(^-^)/ 左に続くのは登ってきた八本歯の稜線。  間ノ岳も見えて明るくなってきた!!
 やっと展望が出たのでテンションも上がり青空ではないもののここぞとばかりに撮影しまくり〜〜 花と一緒に北岳も撮影〜と空がねずみ色だけど いまは仕方なかろう・・・。

ミヤマキンバイと北岳。コメバツガザクラ ウラシマツツジ
山頂は見えないけど仙丈ケ岳。
 展望は隠れたり出たりを繰り返し暫く見えていたので、トボトボと散策を続ける、流石に中白根までもちょっと遠いので行けないけど稜線の 写真が撮れたので出てきて正解だったようだ。夜中に晴れならここから星空撮影もよさそうだな〜

 振り向けば伊那側も雲が切れて南アルプスの貴婦人と言われる仙丈ケ岳も山頂は隠れてるけど見えていた。

 しかし再びガスが優勢になり少し風も出てきて寒くなってきたのでひとまず小屋に戻ることにした・・・ ちょっと薄着過ぎたようだ・・・寒〜

ストーブの暖かな火が気持ちいい。
 玄関ロビーのストーブに火が入り暖かい。部屋に戻ると、違う人たちが入っていた。最初の3人は布団をしてい寝ていた。あらら・・・
 増えたのは若者2人組と単独男性、これで7名でほぼいっぱいである。
 皆さん布団敷いてたので僕も敷いてちょっと横になる。2人の若者も平日休暇をとりやってきたそうだ。
 ちょっと頭痛がする高山病か? でもゾクゾクするし風邪か? どちらか判らないのでとりあえずノーシンを飲んだ。解熱効果も高く山では 風邪薬より便利である。

2階の大部屋は団体で賑やかだ。
 しばらくウトウトしてたけど寝付くことはない・・・ ていうか他の部屋が騒がしい!! 団体ウルサイし・・・
 そういえば、その筋では有名な野草ハンターのfu-coさんも北岳に来ているとブログに書いてあった、どこに泊まっているのだろう?  以前奥多摩でチラっと見かけただけで顔を覚えてない(^^;)

 やがて1回目の食事の時間がきたようで館内放送がされていた。あ〜2回目はまだまだだ・・・お腹がグーとかなってる。
 親子2人も2回目のようだけど、若者2人は1回目のようだ。先に受付をして散策していたのだろう。
 外をみるとさらにガスガスになっていて霧雨も降る始末・・・ 急に晴れて夕焼けが見れる可能性もあるけど、なかなか難しい感じだ。

 談笑したりして時間をつぶしてるとやっと2回目の時間がやってきたのでみなさんで移動〜すると声をかけてくる方が! 何とfu-coさん だった! 山荘でしたのね、しかもとなりの部屋だという。しかも女性2人だけだそうだけど一緒に来た人とは違うそうで、相方はテント泊 だそうである。モーリさんという女性でこんど海外遠征するので足慣らしだそうだ。スゲ〜 まったく年齢はずっと上なのにこの時代の方々の パワフルさには脱帽である・・・。

山荘の夕食メニュー。メインは煮魚。
 はからずしも同じ2回目の食事、2回目の人は少ないので同じテーブルで食べることになった。
 kazuさんのレポにはかならずサバの味噌煮が映っていたけど今回はカレイの煮つけだった。仕入れが変わったのかな? 尾瀬ほどではないけど けっこうおかずも多くて美味しかった。味噌汁もなかなかいいお出しでした。しかしこんな山小屋で何故煮魚オンリーなのか不明だ(^^;)
 食事のときにはスタッフからお知らせをするのが恒例のようで、天候の事などの情報が聞けた。明日は午前中は曇りで午後は雨で雷の可能性も あるとのことで早めに行動、下山を薦めていた。いちおう事前の予報どおりかな? 朝方は晴れて日の出が見られることを期待したい。出来たら 星空も・・・。

完全にガスガスで霧雨になり夕焼けは諦めだ・・・
 食事後はちょっと外へ出てみたが、100%ガスガス、さらに霧雨で夕焼けは絶望的であった・・・ なんとか夜中に晴れてくれるといいのだけど・・・

 小屋には専用の談話室は無くて食堂が兼用になっているようだ。でも殆どの人は集まることもないようで部屋に寛ぐ感じ。でも知らない人どおしの 相部屋だと食事後はすぐに寝ちゃう場合が多くなるが、農鳥岳部屋もすでに皆さん寝る体制になっていた・・・まだ19時半・・・流石に寝るには 早すぎるんだけど、ただし、ここは20時消灯になっているのでまあ仕方ないか・・・

 時間まで外で下界とメールしたりしてから部屋に戻り、星空が出てくれることを期待して就寝となった・・・
 おやすみなさいませ・・・

 といっても、なかなか寝付けない(^^;) 夕方より眠気は消えていたので余計だ・・・ しかも隣人たちはあっという間に寝てしまいイビキが うるさい・・・ 最悪なことに今回は耳栓を忘れてきてしまった・・・むーん、このままでは寝不足に・・・
 追い打ちをかけるようにとにりの若者の寝相が悪くて手やら肘やらがぶつかってくる(T-T) おまけに往復イビキ!!

 それでも何とか寝ようと努力するものの顔が間近まで寄ってきて溜まりかねて起きる!! 時間はまだ21時半だった・・・
 まったくコイツは! 顔を蹴ってやろうかと思ったが思いとどまった・・・

 しかしこのままでは寝れないので、部屋には中二階があり誰もいないはずだ、布団もあったので、よし!そこで寝ちゃおうということで静かに 移動する。案の定布団はいっぱい! 混雑時はここも使うのだろう。
 さっそく窓際の薄明るいところの布団を広けで寝床確保〜 ふぇ〜ゆったり広々だ〜 下のイビキも聞こえにくいので寝られそうだにゃ(^-^)/

 てなことで、やっと落ち着いて就寝となった・・・

 

■6月28日(土)(曇りの時々雨)

  ※早朝撮影は雨天のため無し。
 北岳山荘(6:35頃発)・・(稜線下道)・・・(トラバース道)・・・トラバース分岐(7:28頃)・・・
 吊り尾根分岐(7:50頃)・・・北岳山頂(8:10分頃着/休憩/8:25頃発)・・・両俣小屋分岐・・・
 肩の小屋(9:03頃着/休憩/9:10頃発)・・・小太郎尾根分岐(9:37頃)・・・右俣分岐・・・・
 大樺沢二俣(11:05頃着/休憩/11:10頃発)・・・白根御池小屋(11:40頃着/昼食/12:05頃発)・・・
 大樺沢二俣(12:25頃)・・・・御池小屋分岐(13:35頃)・・・広河原山荘・・・広河原(14:00頃着)
  ※タクシー定員待ち・・・。
 広河原(15:30発)===芦安・市営駐車場==(Kazuさん号)==地元の温泉===
 高尾山口駅===三鷹駅

 はっと目覚めると0時過ぎ。短い時間だけど熟睡できたみたい。
 外が気になるので、1階へ降りて外を見るが、あややまだガスガス、しかも小雨が降っていたので星は駄目である。しかたない・・・。

 次に起きたのは2時半、やはり星は駄目であった・・・ あとは日の出狙いだけど厳しい感じだ・・・

明るくなってもガスガスの小雨模様<風もある・・・
 そして3時半、薄明るくなり始めているがガスガス・・・しかも風が出てきてちょっとした風雨状態だった。うーん、なんでこんなに天気悪いんでしょ?
 ウダウダしていたけど早出の客もゴソゴソ動き始めたようで寝られない。日の出は4時半くらいだから、急に晴れ上がることを期待してカメラを持ち 雨具を着込んで稜線まで移動してみた。

 ザザザ〜 東からの風が強い! ときおり小雨もまじり待機するのも大変だ。ガスが切れる気配もないが次第に明るくなり日の出の時間もとおに過ぎて しまった・・・駄目だこりゃ・・・ と諦めて小屋に戻る・・・。

 ロビーにはfu-coさんも出てきていた。朝の食事も2回目で遅いってことで食べずに出発するとのことだ、そこへ相方のモーリさんもやって来た。 長身で山屋って感じであった。
 玄関ロビーでは無料のお茶もあったのでちょいと頂く。宿泊客はお湯も水も無料だそうだ。ただ、水は雨水も混じってるのであまり美味しくは ない・・・
 fu-coさんらとは挨拶も出来ずここでお別れとなったが下山ルートは同じだったようだ。

 部屋に戻り寛ぐ、朝食も2回目なので親子らと談笑しつつ時間をつぶした。
 外は風も強まり、雨もあるので窓下に見えるテントの撤収作業も大変そうだった。高所テントはこういうことがしばしばあるのが難点だ。

朝食メニューはシンプル。
 やっと6時10分になり2回目の食事が始まるので移動する。玄関先では大勢の人が出立するのでごった返していた。
 朝食のニューはいたってシンプル。ただkazuさんのレポにもあったサバの塩焼きはしっかりとあった。
 この時もスタッフからの話があり、昨日の予報とはうってかわって一日中雨模様だと言われた・・・ ただ明日は晴れるとのこと。うーん、 もう1泊すれば青空とキタダケソウも撮れそうだけど・・・ 今日一日停滞するのも疲れるしさらに混雑するのでやっぱり下山だな・・・。

 朝食後、受付にカメラバックが届いてないか聞くが届いてないそうだ。まあ稜線の小屋に落し物を届ける人はいないだろうし、大きなカメラ でもないので拾った人はお持ち帰りしちゃうだろうからちょっと厳しいかもしれないけど、いちおう各小屋には聞いて回りたい。

ガスに煙る小屋を後に出発。
 部屋に戻りササッと荷造りをする。親子らは先に出発していった。お気をつけて(^-^)/
 雨の中を歩くことになるので完全雨装備に変更〜 カメラレンズも防滴仕様を持ってきておいたので正解だった。それにしても3000mの 山で風雨の中を歩く羽目になるとは・・・ 無事に下山したいものだ・・・

 ほとんど出立して小屋は閑散としている。お世話になりました〜と小屋主さんらしい人に挨拶をして小屋を出た。
 いちおう山頂は踏みたいので稜線から直登も考えたけど、風が強そうなので下のルートからトラバースを通り吊り尾根に出るルートに決定! これならしっとと濡れたキタダケソウ撮影出来るかなという魂胆だ。

再びライチョウに遭遇!!
 停滞するのか2泊するのかテントがまだ2つくらい張られていた。
 雪渓を抜け進むと例の保護ネットのところ、もしかしたらライチョウがいるかも?? とガスの中を凝視しながら歩くと・・・おお!居ました!  昨日と同じようなところだけど、登山道にかなり近いところにおります!! しかもいい具合にガスが晴れてスッキリと見えてる! 近いので 望遠レンズにしなくても撮れるのがありがたい! 驚かさないように近づいて撮影する。高山植物も咲いてるのでいい感じだ。
 警戒心は薄いけどやはり近づくとゆっくりと移動してしまう。それでもバッと逃げることはない。後から来た人にライチョウいますよ〜と 教える。逃げないのでもっと撮っていたいけど先も急ぐので、またね〜(^-^)/とその場を後にした・・・。

 歩きにくい岩屑の道を進むとトラバース道と稜線への分岐点に到着。ここから昨日と同じトラバース道へ進む。まだ時間も早く八本歯から 来る人もいなてので貸切状態だ。風は意外と弱くて幸い霧雨のような感じになっていた。そして薄日が! もしかしたら山頂に行くと雲海に なって晴れてる? 期待しちゃおう(^-^)/

 一晩降り続いた雨で花はみんなしっとりと濡れて花弁などもくっついているので撮影にはイマイチだ。キタダケソウも例外ではない。濡れて 少し半透明な感じのもある。そんな中に今にも落ちそうな雫のある花びらがあっていい感じだ。マクロレンズに変えたいけどまだ雨降りなので 仕方ない今のレンズでとりあえず撮影した。
雫いっぱいのイワベンケイ。しっとりと濡れるキタダケソウ。 雫をつけたキタダケソウ。

トラバース分岐から吊り尾根に登る。どんどん標高があがる。

ルート沿いに咲くキタダケソウ。まだまだ蕾も多い。

 しっとりと濡れたキタダケソウもまたいいものだ。それほどじっくりと撮る時間はないので、普通に撮影しながら歩き進み、トラバース分岐へ、ここからは初めてのルート。

 まずは吊り尾根分岐に向かって登る。標高は3000mを越えてるし当たり前だけど登るたびに標高は上がる、高山病にならない ように意識的に深呼吸したりしながら登った。

 このルートにもキタダケソウは多く咲いていてちょっとびっくりだ、トラバースが一番多いと思っていたのでここにこれだけの群生があるとは 想像してなかった。しかもけっこう新鮮なものが多く頭花が緑色である。

 撮影しながら登っていると熟年夫婦が下ってきた。トラバースのキタダケソウを肩の小屋から見に来たそうだ。やはりトラバースのが有名らしい。 そのあとに来た単独男性も同じだった。

吊り尾根分岐に到着。
 ズンズンと登るとふいに風が強くなった! そして稜線に到達! ここが吊り尾根分岐だ。左に下ると北岳山荘、右に登れば山頂だ。
 相変わらず山頂はガスで見えない、というか周りはガスガスで展望なし・・・ うーん、少しでも見えてくれるといいのだけど・・・

 高度に体も多少は慣れているせいか比較的足取りは軽かった。中二階で熟睡出来たのも功を奏したようだ。
 相変わらず登山者は極端に少ない、あの団体はどこに向かったのだろう? 山荘泊の人も山頂経由なら追いついてもいい筈だけど・・・天候が 悪いのであまり立ち止まらず下山してしまったのかもしれないな・・・

 山頂への道はさすがに岩岩でストックは無い方が登りやすい。時折吹き付ける風もそんなに冷たくなく暖かな感じだ。
 どんどんと登りゆくと、情報にあった10mほどの雪渓が見えてきた。でも、しっかりトレースがついてるので問題なさそうだ! 場合によっては 岩伝いに迂回とか言われていたので、これは助かった。
しばし登る登る・・・。雪渓はトレースがあり問題なく通過。 一番奥が山頂だろうか??
 雪渓を越えるといよいよ山頂は間近になる。一歩一歩確実に岩を踏みしめてしばし稜線を進む・・・、ピークか?と思うところも何カ所かあるが ガスで先が見えないのがもどかしい・・・

 どのくらい進んだだろうか? 平らなところに出たかと思うと標識が見えた! ついに北岳山頂に到着である!やったね(^-^)/ でも展望は 無し・・・(+o+)
 写真で見たことのある山頂標識にタッチ! しかも誰もいなくて貸切状態だ! まあこの状況では長く滞在する人はいないよね・・・
遂に日本第二位の高峰、北岳に到達(^-^)/山頂には雪が残っていた。 一等三角点。
洒落たお地蔵さん。
 とりあえず、一人記念写真とかしてみた。パシャ! 近くにお地蔵さんがあって、何とサングラスなんてしてらっしゃる! いったい誰がこんな 演出をしたのか(^^;)

 ときおり薄日が見えるけどガスが晴れる気配がない。。。それでも、15分ほど待機してみたが、駄目であった・・・うーん、ここで展望が ないのはやはり寂しい限りだ・・・ そういえば初赤岳もガスガスで何も見えなかったな〜 山頂からメールしようかと思ったがうまく送受信できない ので諦めた・・・このあたりの電波はどこからきてるのだろう? 広河原は圏外なので奈良田あたりからの電波か? 

 さてそろそろ下山かなと思ったら、肩の小屋側から登ってきたオヤジにシャッター押してくださいと頼まれたのでパシャっと撮影。暫くすると オヤジも肩の小屋へ下って行ったので、オイラも行きますか〜と下山開始。

 もしかしたら晴れるかもと何度もふりかえりながら下ってゆく。足場がしっかりしているところもあれば、急な岩場もある。ただガスで見えないので 高度感がまるでない・・・。せっかくの3200mの高度感を味わえないのはいささかつまらない・・・これも次回への宿題か・・・

 ときおり伊奈側の山がうっすらと見えてるが仙丈ケ岳は見えなかった。
 岩岩のあたりも多くの高山植物があり、最盛期にはお花畑にりそうなところだった、ミネズオウなどはまだまだ蕾である。このあたりが花だらけに なるころにも一度来てみたいものだ。
下りは早い、山頂は彼方に・・・時々伊奈側が見えてくる。 両俣分岐。
 それにしても登ってくる人はほとんどいない! 悪天でやめて下山したのかもしれないな・・・
 しばらく下った両俣小屋分岐のところでさきほどのオヤジが地図を見て何やら思案中。なんだろうと近づくと、北岳山荘はどちらでしょう?
 はい〜?? てっきり肩の小屋から山頂ハントして引き返してるのだと思っていのでこの質問には驚いた。「まったく反対側ですよ」と教えるとビックリしていた。
砂礫の道を進む・・・。ふいに眼下に肩の小屋が見えた!
 そりゃそうでしょう・・・こんなところまで戻ってしまってまた登り返さないといけないのですから(^^;)
 オヤジはトボトボとまたまた山頂へむけて戻っていった。山荘に泊まるならまあいい運動ですが・・・どうなんでしょ(^^;)
 このガスガスではちょっとした勘違いが道迷いに繋がるのでほんとに要注意だ。

肩の小屋に到着。
 わたしも間違わないようにと思ったが、すでに下の方に肩の小屋が見えていた(^^;) もう着いたのですね・・・。
 さすがに人の声がこだましてちょっと賑やかだ。どんどんと下って行って、肩の小屋に到着〜。 なるほど写真と同じだ(^^;) 外トイレは 解体工事中で新しくなるみたいだ。工事関係者用の詰所だろうかかまぼこ型のテントが張られていた。
 テント場には一つもテントは無かった。風も強いので早々に撤収か?

 とりあえず、カメラバックの事を聞きに中に入る。ここも薄暗い小屋だ・・・ スタッフ?に聞くけどやはりここにも届いてなかった。もし あるとすれば下の広河原山荘かインフォメーションセンターだろうと教えてもらった。とりあえず、白根御池にも寄ってみるか・・・

 ちょっとお腹も空いてきたのでおやつを食べ水分を補給するが、風が強くてゆっくりしていられないので、食べたら早々に出発である。

 ここからは小太郎尾根を歩いて草すべりの方へ下るルートだ。それなりに急峻な岩場を下る、ここは登るときはちょっと大変そう!? でも岩の上を 歩くのではなく、細い道がクネクネとあるのでクライマー技術は不要だ。
道沿いにも点々とお花が咲く。ミヤマタネツケバナ 岩場を急降下!

斜面一面にキバナシャクナゲが咲き誇る。小太郎尾根分岐。
 岩場を降りると、たおやかな尾根道で、伊奈側の斜面にキバナノシャクナゲが大群生していた! これは凄い! 天気が良ければ周りの山々と 一緒に撮れて綺麗だろうな〜 うーん、やっと見えてきたのは手前の方の山だけだ。
 こちら側は風もなく快適・・・ ズンズンと歩いてゆくと雪渓が見えてきた。ハイマツのところに標識がありここが小太郎尾根分岐のようだ。
 あとはここを一気に下るだけか! と雪の上をどんどん歩くとあれれ、なんか違うなぁ〜と振り返ると尾根とは直角に下るトレースがあった! おお〜 間違えるとこだった・・・(^^;) もうちょっと印を置いてほしいものだ。

 トレース沿いに進むと草すべり上部の草原やダケカンバの斜面になった。なるほどこういうところか!
草すべり上部を下る。ショウジョウバカマ サンリンソウ
 斜面はまだ雪解けしたばかりな感じである。そこにショウジョウバカマが沢山咲いていた。少し草のあるところにはサンリンソウやヒメイチゲも 咲いている。そして、下の方から賑やかな声が聞こえていた。

右俣ルートと白根御池への分岐点。
 しばし下ると白根御池と右俣ルートで大樺沢への分岐になる。草すべりはまだ花も少ないと聞いていたので、ではでは右俣かな、でも、大樺沢まで 行ってしまうと白根御池でバックの事を聞けないな〜とちょっと悩む。電波がきているので電話をしてみるがまったく繋がらなかった。なんで?  とりあえず下界のkazuさんにメールをする。受信したメールには芦安で待ってますとのこと、今から待つと随分時間があるな〜でも仕方ないか・・・

 結局、右俣ルートに決定して下り始めた・・・ けっこう段差のあるルートで下るにしたがって傾斜も強くなる。うーん、ここは登りには 使いたくないな〜 でも花はけっこう多くて、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、マイズルソウ、サンカヨウ。そしてキバナノコマノツメは かなりの群生になっていた。コマノツメの果実に毛があるのはアカイシキバナノコマノツメと区別しているので果実がないかと下りながらこまめに 探すが見つからない・・・もう少し遅く来ないと駄目みたいだ。夏に来られれば確認したいな。
ガラス細工のサンカヨウ。背丈の低いダケカンバ帯を下る。 シナノキンバイ

 ズンズンとくだる、背丈の低いダケカンバ帯、ところどころ剥げたような斜面はシカによる食害の跡のようだ。ここまで綺麗に食べられて しまうと植生も無茶苦茶になる。

ミヤマキンポウゲキバナノコマノツメはいっぱい咲いている。 雪原の向こうに北岳の岩肌が!
 急に視界が広がると一面の雪原! その向こうにはうっすらとバットレス北端の岩肌が聳えていた! 山頂は見えないけどなかなかの迫力だ!  いつのまにか随分と標高を落として下ってきていたみたいだ。稜線はもしかしたら晴れてるかな〜?と、超気になる・・・

 どこからか子供の鳴き声が聞こえたりする?でもこれはサルの鳴き声のようだ、このあたりも群れがいるときいてるのでたぶんそれだろう。サルも 植物を食い荒らすのでシカ同様対策が急務になっている。

右俣の雪渓が見えてきた。

二俣出会に到着。

 さらに急な階段状の道になりどんどこと下るのでちょっと足にくる・・・。
 ふいに白いものが見えて、右俣の雪渓に飛び出た!! おお〜 ここまできましたか〜 この雪渓を下ると昨日登った左俣、そして二俣出会で ある。
 ここにきて、賑やかに登ってくる若者と熟年のグループが登ってきた。やっと沢山の登山客に会えた感じだ。天気悪いので出足が遅いのかもな〜。

 しばらく下ると雪渓の上を下るようになった。アイゼン付けるのは面倒なのでそのままザクザクと踵でくだってゆくと、カンカンと何かを作る 人たちが? どうやら二俣で仮設トイレを作っている人たちのようだ。

 11時過ぎに二俣に到着! ふぅ〜 ここまで来ましたか〜 すっかりお腹も空いたので、サプリメントフードを頂く。
 八本歯の方はまったく見えないものの、バットレスの中腹から下の方は辛うじて見えていた。左俣を登る人はほとんどいなくて閑散としている。 こんな状態たと今夜は小屋はガラガラかも? でも、下からはポツポツと登ってくる姿はある。ただ皆さんテント泊のようで荷物が大きかった。

 先に来て座っていた人に途中にバック落ちてませんでしたかと聞くが見当たらなかったという。下から来た人にも尋ねるが判らなかったという。
目先のいいfu-coさんにも聞いてるけどやはり判らなかったという。やはり誰かに拾われたの可能性は高いようだ。ただ、草むらに置いたという kazuさんの話しなのでもしかしたら転げて草に埋もれてる可能性もある。

 さてどうするか、天気のせいか電波は圏外・・・ このまま下るとシャリバテしそうなので、やはり白根御池に行って食事がてらバックのことを 聞こうということで、地図では30分の横道を歩き始めた…

ツバメオモト
 このルート針葉樹林も多いので八ヶ岳のように苔むした林床が広がる、こういうところにはホテイランとかありそうな感じ〜 急ぎ足だけど どうしても探してしまう。でも見つからなかった・・・ めだっていたのはツバメオモトくらいか・・・。

 雨はやや本降りで被ってる帽子もグッショリだ、流石に防滴レンズも少し結露して曇ってしまい撮影しても白っぽくなってしまうのであまり撮る気が しないので先を急いだ・・・。

 

池はまだまだ雪の下。綺麗な白根御池小屋。
 どんどんと歩いてゆくと、雪原が見えてきた! どうやらここが白根御池のようだ! 池があるはずだけど雪ノ下のようだ。テント場には 沢山張られていて悪天でここをベースに変更した人も多い感じだ。
 雨はさらに強まり完全に本降り! 真新しい小屋の軒下には沢山の登山者が雨宿りしていた。韓国人のグループもいて超絶煩く自炊している。

名物の御池カレーでお腹いっぱい!
 ひとまずザックを置いて、受付でバックの事を聞くが駄目であった・・・。残念・・・。あとは麓だけだ。かなり可能性が薄れてしまった。
 とにかくお腹が減ったので名物だという「御池カレー」を頂くことにした。尾瀬沼ヒュッテ並に綺麗な館内に入り食堂でカレーを頂く。 お腹も空いてたのでバクツク!まいう〜(^-^) 何とお味噌汁もついていてこれで800円はお得だ! さらに、開山祭ということで甘酒がサービス された。いや〜この甘さは癒されますな〜 たた正直なところカレーは尾瀬の原の小屋カレーが良いかな(^^;)
 それにしても、外はザンザンと雨が降り、このままここに泊まってしまいたいくらいな感じだ(^^;) でも、帰らねば・・・

 宿泊していた団体が樹林帯コースで下山するようだ。おばちゃんばかりでとても元気・・・
 万が一拾われてない可能性も考えて大樺沢に戻り同じルートで下山することにして急ぎ足でまた戻った・・・
 結局この横道ルートは片道20分もあれば歩けるようである。次回はもう少しゆっくり歩いてランを見たけたいものだ。

再び二俣出会に戻って来た。どんどんと下る・・・。
 二俣出会に戻ると仮設トイレの土台は完成してその下で雨宿りしながら工事関係者が食事していた。ご苦労様です。

 さーて、一気に下りましょう〜 下まで長いけどアイゼンはいらないでしょう〜とザクザクと下りだす・・・。
 雨降りで昨日より雪が柔らかくて歩きやすくはなっている。この感じだと上部は逆に踏ん張りが利かないのでちょっと辛いかもしれないな〜。
 ときおり足を取られながらも快調に下り、途中から夏道に入った。そしてガンガンと下る!!

コバイケイソウの群生。花は無し。ガシガシ下る・・・。
 昨日歩いた道なのでどこに何が咲いてるかはだいたい覚えてるけど、雨も降ってるのであまり撮る気もしない・・・とにかくただただひたすら 下る感じである。こういう下り方すると疲れるのだよね・・・。

 何人かの人が登ってくるけど、この時間だと白根御池泊かな? あそこにテントを張って1泊、山頂付近ピストンで下山するのもひとつの手だな。 でも御池のテント場は荷揚げが楽なので夏場は激混みになるのが難点だ。でも夜行バスが使えずJRとバスで来る場合は有効だろう。

上流側の仮設橋。
 あっというまに下り、上流の仮設橋を渡る。稜線はやはり見えない・・・ 山肌から流れてくる水は昨日より増えてる感じだ! このあたりで コマドリを撮影して、崩壊跡・・・、ツマトリソウを撮影したところ、と、kazuさんと別れたあたりを思い出しながら下る。そしてじっくりと草むらを見ながらゆっくりと 下る・・・・が、見当たらなかった。うーん、やはり拾われたのか!?

 再びガシガシと下り、もうひとつの仮設橋を渡る。タカネグンナイフウロが咲いてるけどすっかり雨で垂れていて写真にならないので通過・・・。
 さらに下ると、ミヤマハナシノブが咲いていたところ。これはもう一度撮影しておこうと露を払って撮影する。同じ日に歩いた人のレポには 他にもミヤマハナシノブが咲いていたらしいが、どこだったのだろう?

 そこを過ぎるとまたまたズンズン、ガシガシと下ってゆく・・・
 さすがに足も疲れてくる・・・それでも、ヘロヘロ状態でもなく二俣出会いくらいまで引き返そうな体力はありそうな気がした(^^;)あくまで ありそうです・・・(^^;)

やっと広河原に到着〜(^-^)/
 そして、やっと樹林コースの分岐に到着。ここまでくれば勝ったも同然! てことでしばし休憩〜〜

 再び歩き出して、ゆるゆると下る・・・
 薄暗い林床の向こうに建物と川が見えてくると広河原山荘に到着だ!! ふぅ〜着いた〜 ああああ・・・。

 そのまま、中に入り受付に聞く・・・ 届いてなかった・・・ うーん、あとはインフォメーションセンターだけである。

そして吊り橋を渡り終了〜(^-^)/
 それにしても、ここもなかなかいい雰囲気で食事とか出来るみたいだな〜 お土産もいろいろ売ってるけど、またの機会に・・・

 吊り橋を渡りほどなくしてスタート地点のバス停があるところに到着した。時間は14時15分。なかなかいいペースかな? 20分のバスが 停まってるけど出来たら荷物が大きいのでタクシーで帰りたい。
 館内に入るには雨具を脱げと張り紙が! あ〜もう面倒・・・といいながらスパッツも外してから、館内へ・・・2階がインフォメーションセンター らしい。
 無駄に広い2階・・・なぜかモンベルのショップが!?

 受付に行って恐る恐る聞く・・・・ 来てるよ〜! ええええ!! やった〜!
「念のため確認です。」
「中身のカメラメーカーは?」  オリンパスです。
「バックのメーカーは?」  たぶんモンベル、オリーブ色かな?
「合ってますね〜 良かったです。」

インフォメーションセンターが入る建物。
 出してきたバックは紛れもなくkazuさんのものだった。いや〜最後の最後で見つかるとは!
スタッフ曰く、こんな高価な物どうしようかと思いましたよ〜(^^;)
 そして、27日に拾った人が肩の小屋泊まりでもしかしたら泊まってるかと思って荷揚げしたけど全員に 聞くわけにもいかず、小屋に置いておくよりココに持ち込んだ方が落とした人も取に来やすいだろうと いうことで再び持って下山してくれたそうだ。
 いや〜日本人てほんとにいいな〜と思った。こうして高価な物も帰ってくることがあるのですから。
 届けてくれた人には本人に代わって感謝感激でございます。ありがとうございました。m(-_-)m
 ちなみにカメラの総額は20万くらいだったそうだ! ひえ〜〜\(◎o◎)/!

 受付にお礼を行って外に出た。
 さて帰るかと思ったが、次のバスは15時40分か、ではタクシーと客引きしてるオヤジに聞くと8〜9人集まれば出るので とりあえず荷物入れて中で待っていてくれという返答。

 後で気づいたのだけど、この日は午前中に開山祭があり裳もお蕎麦が振る舞われたそうだ! 知ってればダッシュで・・・ 無理ですね、そんなトレランの方みたいに降りれません・・・(^^;)

 ここは自販機くらいしかない。お腹も空いたので持参のお菓子を少し食べながら時間をつぶす・・・ しかし待てど 暮らせどなかなか下山者は来ない・・・ 早い人は既に帰ってしまったようだ。むーん・・・
やっと6人集まったが、15時半までは出ないという・・・。夏ならすぐに集まりそうな時間だけどね・・・。

 そしてやっと8人集まったが結局15時半まで待ってから出発となった。ケチ!
 あ、一人足ゴールしなかったなぁ〜

 

 芦安に着いて、待っていたkazuさんにカメラ見つかったよ〜と見せると満面の笑みを浮かべていた。
 一時は諦めたとはいえこの機材一式が無くなるのは凹むことだろうからホントに戻って良かったと思った。

その後、温泉で汗を流して帰路についたのでした〜

 こうして、初めての北岳と憧れだったキタダケソウを見ることが出来て、怪我もなく無事に下山。同行のkazuさんの脱落という アクシデントもあったものの、何とか目的は達成できたし、ライチョウやオコジョのサプライズもあったので思い出深い初北岳となりました。
 ただ展望が良くなかったのは唯一の心残りだけど、また夏にも再訪、そして来年もキタダケソウを狙いたいと思いました。
 kazuさんと一緒に山頂に登れなかったけど、同行して頂いてほんとうにありがとうございました。
また来年もよろしく(^-^)/

おしまい・・・

雨に濡れるキタダケソウ。