■10月20日(土)(曇りのち晴れ)
沢渡(05:30頃)==(タクシー:@4000円)==上高地バスターミナル(6:00頃着)・・・・
河童橋(06:20頃)・・・・明神館(07:00頃)・・・・徳沢園(7:50頃・休憩)・・・・横尾(8:55頃着・朝食)・・・・
本谷橋(10:50頃・休憩)・・・・・・涸沢ヒュッテ(13:00頃着・昼食)・・・・パノラマコースプチ散策・・・【ヒュッテ泊】
涸沢デビューから1月余り今年はもう行くこともないかと思われたが、涸沢の紅葉の最盛期の写真を見ていると行きたくなってしまった。巧い具合に
相棒が涸沢に車で行ってみたい言う!! ではではってことでナビを申し出て便乗させてもらうこととなった。天気はどうやら雪が降るという予報!
どの程度降るのか判らないが涸沢の三段紅葉が見れるかも!? とにかく期待が膨らんだ。
しかし出発の夜は生憎の雨雨・・・ 明け方までには止み、その後は晴れるという予報を信じて高速道路をひた走った。
長野道に入る頃には雨もやみ、空には星空も見えてきていた。よしよし、予報通りか!? 松本ICを降りて国道を上高地に向けて走る。この道、
観光道路ということもあってかコンビニが多かった。しかし、新島々を過ぎるとまったく無くなる・・・ 街灯もあまりない道をどんどんと走る。川や
ダムの近くを通りいくつものトンネルをくぐる。一人で運転するとかなり怖そうな道である・・・。
やがて水殿ダムを越えて進むと前方に赤ランプの棒を振り回す人たちが? どうやら止まれらしい。なんだろうと聞くと、この先の沢渡大橋手前は工事中で
夜間は通行させないことになっているとのことだ! 午前5時に通すというのでここで駐車してくれとのことであった。そこは風穴の里という観光施設で
既に数台が駐車していた。仕方ないので隅の方に駐車する。施設にはトイレも自動販売機もあるのでまぁ、仮眠には丁度よいか・・・ 仮眠の支度をして
いる間にも続々と車がやってきて駐車場はあっというまに満杯で入れない車は路駐である。中にはテントを張って休む人もちらほらといたのには驚いた。
空には冬の星空が輝き天候は予報とおり回復のようである。とにかく寝るしかないので横になった・・・。
なかなか眠れず、ほとんど寝てない感じのまま4時半頃。。。路駐の車からどんどんと動きだしていた。 少ししてから我々も出発だ!
とんだところで待ち惚けを食らわされてしまい、沢渡に着いたのは5時過ぎである。予定なら5時にはタクシーに乗るはずだったが大幅に遅れて
しまった。 いくつかある駐車場のうち一番広い第二駐車場に車をとめて、さっそく支度をする。入り口付近にはタクシーが何台か止まっていたので
直ぐに乗り込んで出発である。まだ薄暗い道をどんどんと進む。愛想の良い運ちゃんでお話もいろいろしてくれた。大正池あたりでクマが出たとか
冠雪してますよ〜とか話してくれた。 釜トンネルをクネクネと進み、やがて目の前には大正池! 空は曇っているが雲間に白い穂高が見えていた!!
おお〜 雪ですな〜! ほんのちょっと見えただけなのに感激である!!
やがて上高地バスターミナルに到着。タクシーのメーターは4800円となっていたが規定で一律4000円となり安心料金でありがたい。
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まだひっそりとしているターミナルだが登山者が支度をしている。そして、天気は小雨・・・(T_T) 雨ですか〜 全開も小雨だったよね・・・
でも、携帯で確認するとやはり午後前には晴れるという予報である。信じるしかないか〜
とにかく出発だべ!! 森林から河童橋に出ると既に観光客が沢山うろうろしていた。垂れ込める雲は低く大正池からちらりと見えていた穂高は
まったく見えなくなっている。う〜ん・・・
9月に来た頃、この時間はもう明るかったが、流石に10月下旬ともなるとまだまだ薄暗い、曇りと森林の中ということも相まって余計に薄暗い
と感じてしまう。途中の小梨平のテントばにはいくつか張られていた。ここ泊まりの人かそれとも岳沢経由で穂高あたりに出動する人かな? ここで
テントするくらいならもう少し奥でしたほうが山の雰囲気は出ると思うけどな・・・。
白い砂の道をひたすら歩く、花もなにもなく紅葉もあまり良くはなさそうだ、明神岳の前衛も雲で覆われている。山肌の紅葉がちょっと綺麗。ただ
ひたすら歩いて明神館には40分で到着。道にぎっしりと落葉していてなかなか綺麗で思わず撮影してしまった。
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休憩はしないで徳沢に向けて進む。 相変わらずどんよりとした曇り空、そして時々小雨が降る、梓川から奥を見渡せる場所からも山の稜線は雲で
何も見えなかった。ほんとに晴れるのだろうか? どんどん心配になってくる・・・。
この道もひたすら歩いて徳沢園には50分で到着であった。けっこういいペースだ。 とりあえず軽く食べてから食堂でコーヒーを頂く。徳沢園では
オリジナルのラーメンがあるとのことで、張り紙には1日50食限定となっていた。これが噂に聞く徳沢ラーメンか! 帰りに立ち寄って食べて
みたいなと二人で決めた。50食しかないので果たして食べられるだろうか?
徳沢園を出発して暫くすると新村橋だ。周辺が紅葉していてちょっと綺麗。そこからはひたすら歩き続けた。単調な道ではあるが、今回はそれほど
嫌気はしないで歩くことが出来るのは一度歩いているせいだろうか? 結構快調に歩く・・・。 歩いているうちに少し明るくなってきた気がした。
すると雲間から差し込んだ光が山肌の紅葉を輝かせる! 光は小さくなったり大きくなったりを繰り返していた。
そんな光景を見ているうちに横尾山荘に到着だ! 横尾山荘は改装工事中で緑の網が全体に掛けられていて奥の建物は解体中であった。あらたに新築
するのかな? 横尾大橋の前には全体に黄葉した木があり一際目立っていた。そして、一気に屏風岩の山肌の紅葉が輝く! ふと後方を見ると青空が
広がっていて、それは槍沢の方まで続いている。やった!晴れてきた!! 横尾の上の雲も切れ始めあの黄葉の木が素晴らしく輝いていた。やっと晴れて
きたか〜 よしよし! しかし、屏風岩上部にはまだ雲がかかり横尾谷の奥の山々の稜線も雲の中であった。
ひとまず休憩して何か食べるかとまだ濡れているベンチに腰掛けた。横尾では登山者と観光客が入り交じって休憩している。横尾といえば登山者の
拠点と思っていたが、朝早くにやってくる観光客はこんなところまで足を伸ばすようだ。
食べている間にも青空は広がり天気は好天の兆しだ! 食べ終わり出発である。
横尾大橋からの梓川、前回より水量は減っている感じ。相変わらず屏風岩の上はガスがかかっているがその麓の紅葉は日差しを浴びて錦織となって
いた。比較的緩い道を進んで行くと屏風岩の上部がうっすらと白くなっているのが確認出来る。そして、谷の奥には白い山肌が! 北穂かな? 横尾尾根の
稜線はすっきり見えていて雪化粧である。このあんばいなら涸沢や穂高はどんだけ白いだろうか? 期待が膨らんだ!!
屏風岩がそびえ立つようになりさらに歩くと本谷橋である。この付近の紅葉は最盛期のようで綺麗だ! 橋のたもとから振り返ると蝶が岳にも雪が
被っていた。この本谷橋は冬場は板を外すようで、その代わりに手作り風の小さな橋が上流側に架けられていた。ほんとに質素な作りであるが本格的な
冬までのまさしく橋渡しを担うのだ。ということで、早速渡ってみる。ギシギシと揺れてちょっと怖かった(^^;)
橋を渡った河原でちょっと休憩だ。相変わらず穂高側に雲が多いが北穂の中腹あたりまで雪が付いている! 晴れれば素晴らしい光景だろうな〜 その
反対側の横尾側は綺麗に晴れ上がっている。
再び歩き出し、急登りをちょっと喘ぎながら登ってゆく。横尾尾根の紅葉が美しい! 更に本谷の両岸の紅葉もまだまだ見頃であった。 更に登ると
本谷右俣奥に雪の尾根が! 横尾尾根のコルである。槍沢から天狗原を登り南岳に向かう道がある。あそこからこの本谷に下るルートもあるらしい。
途中、涸沢に良く来るという女性の方にmeaさんが声をかけてお話をする。この女性も未だに稜線には上がったことがないという。今夜はヒュッテ泊まり
だそうだ。もしかしたら相部屋かな?
眼前の北穂東壁はすっかり雪景色! 山頂まで見えないのが残念・・・ このあたりからも奥穂や前穂が見えるはずだが目の前のは前穂かな?黄葉のトンネルを潜る感じでどんどんと登ってゆく。
Sガレあたりにくるとよく晴れた青空に屏風の岩峰が聳えていた。峰峰は雪景色。さらにナナカマドなどの紅葉が光を受けて輝き正真正銘の三段紅葉
である! ヒュッテでのんびりしようと思っていたが、この景色を見ちゃったとたんに足どりは重くなり、ちょっと良い光景になる度に立ち止まっては
撮影である。二人ともそんな感じで歩いてゆく。
涸沢の沢が見えてくると足下は雪となってきた。それは登るにつれて増えてゆき、一面の雪化粧となった。そのころには前穂や穂高が見え出す!
稜線は見えないものの岩肌は完全に雪景色!! おお〜! と声が出る!! 涸沢のナナカマドはほとんど落ちてはいるがまだ葉が残っているものも
多くて色付きも残っていた。光があたればそれなりに綺麗だろうが、上空は曇り空。屏風岩より向こう側だけが晴れている感じだ。
涸沢小屋とヒュッテの分岐あたりにくると完全に雪道。積雪数pだろうか?
分岐付近の紅葉もなかなか綺麗で雪景色といい組み合わせである。ちょっとした坂をぐんぐん上る、降り返れば雪の涸沢の向こうに横尾の谷と屏風岩
が美しい!! ほんとにここは長めが素晴らしいところだ。
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パノラマコース分岐から石段を登ると今夜の宿である涸沢ヒュッテに到着だ! 新館に受け付けがあるので早速入りたいのだが、トイレとの通路に
何やらトンカントンカンと角材を組み立てていた。どうやら雪の為の支えか囲いを作るようだ。
新館の中はストーブがたかれて温かい。一番奥に受付があるので早速宿泊の受付を済ます。我々の部屋はキリンソウであった。とりあえずザックを
置くべと部屋に向かう、そこは蚕棚のような二段の部屋が並んでいた。キリンソウの部屋は2階の窓側で屏風岩がよく見えるなかなか良い部屋である。
5人部屋だが、最終的にもう1カップルが入り4人となった。もちろん1人1布団で余裕である。最盛期には10人以上押し込まれるそうだが、そんな
状態は100%寝れないので重くてもテントで来たいものだ・・・。この日は全館を使っていたので100人程度は泊まっていたようだ。
大混雑を考えて念のために持ってきたシュラフも使わず仕舞いで嵩張り損て感じだけど寝るにはやっぱり布団が一番だね。
さて、お腹もすいたのでお昼でもしようかと外に出てみる。石段を登るとそこはテラス! のはずだが、すっかりテーブルやベンチは解体されていた・・・
ちょっとした長いすはあるものの売店も無かった・・・ 受付の横に置いてあったおでんやコーヒー。この季節はあそこで販売しているという
ことだと判った。
新館に戻りメニューを見るとまだおでんセットがあったので1セット注文。そしてオリジナルカレーも2つ注文。出てきた缶ビールを
プシュッとあけて飲みあう。カレーは牛肉?が沢山入っていてかなり美味しかった。お腹も空いていたのも手伝って二人ともがっつくように食べて
しまった(^^;)
食べている間にもぞくぞくと宿泊者がやってきて受付をする。流石に人気の山小屋だな〜
昼食後は散歩に出てみる。外は風がありちょっと肌寒い、相変わらず稜線は見えないが、涸沢全体が真っ白に雪景色となっていた。うーん晴れて
いれば素晴らしいのにな〜
パノラマコースの途中に槍が見える場所があるので行ってみることにした。しかし雪道なのでどこまで行けるだろうか? パノラマコースと書かれた
岩から歩き出す。ゆるやかに高度を上げてゆき涸沢全体が見渡せる好立地コースだ。ほんとに晴れていれば素晴らしいのにな〜と思いながら登る。
それなりに登ったところで最初の崖にぶつかった。案の定足場に雪がついてどこに足を置いてよいのか迷う状態だ。張られたロープを伝いながら進もうと
するが滑りそうでそれ以上足を出すのが怖くなってしまった。その後にmeaさんも挑戦するがやはり敗退、しかも掴んだ岩の一部が動いていたという
から怖い!! この先こういう場所は沢山あるのでもし越えられても先に進むのは我々には自信が無い。
情けない話だが断念である。最初のところで敗退とはほんとに情けない話しだが、雪がついてなければそれなりに進めるかもしれない。来年は雪の
ない季節に歩いてみたいものだ。
3時過ぎだが随分と薄暗くなっていた。上空の雲はまったく動く気配もなくそれどころか時々雪が舞う。晴れる予報だったがどうやら厳しい感じ
だ・・・
とりあえず小屋に入。受付のある通路には長いベンチがあるのでそこでくつろいだり売店で物色したりとゆるりと過ごした。名物のおでんは
どんどんと売れてゆきすっかり完売してしまった。寒さも加わって大人気だ。談話室といわれる小スペースには写真集や雑誌などが置かれている。
これだけの規模の小屋なのにもう少し大きく作れば良いのにと思うが・・・。小屋の雑記帳を見るといろんな人が来ているのがわかる。外人さんが
多いのはアルプスならではだろうか? そういえばハングル文字の看板が多い。あちらからくる登山者も多いようだ。この日もアメリカ人のおじさんが
泊まっていた。でかい体にあの蚕棚はさぞかしきつかろうな〜
談話室のベンチでくつろいでいるとすぐ下の食堂が慌ただしい。夕食の準備が着々と進んでいるのだ。小綺麗に並んだテーブルには既にオカズが
乗ったお盆やお皿が置かれていた。天上は高くランプや巨大なカウベル吊られていてアルプスの小屋って雰囲気をかもし出している。
夕焼けはどうだろう? と外に出るが曇っていて駄目である。僅かに常念岳の方向の雲が僅かにオレンジ色になっているだけであった。しかも
雪がチラチラしている・・・
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外から戻ると丁度夕食の時間となっていたので早速、スタッフの言われるままにテーブルに着く。奥まった処を指定されてかなり窮屈だ。向かい合わせで
ある。カップルなんだから隣りどおしにしてくれれば良いのに・・・。 ヒュッテのおかずは山盛りと聞いていたが、それほどの量ではなかった。
ポテトサラダなんか山盛りになっている写真を見たことがあるが。。。これは、普通である。小屋閉め間近なので食材が少ないのだろうか? 聞いてた
量よりは少ないが、メンチに焼き魚、冷や奴などおかずは多く満足である。
さてさて、夕焼けはどうじゃろ? といそいそと食堂を出てカメラを持って外に出ると。ビュオ〜 冷たい風が吹き、ザラザラした雪が降っていた!
おいおいおい! 降るのかよ〜! 稜線はさらにガスで覆われていた。テント場は昼間より増えて40張りくらいかな? この寒いのに大変だろうな〜
同情するのは良いが、こちらも寒い! 焼けることもなさそうなのでさっさと小屋に戻った(^^;)
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戻ると穂高のDVDの上映が始まっていた。ほかの客も来て床に座り見ていた。我々もそのまま見ることになった。穂高の稜線を歩くガイドビデオ
のような構成だった。ザイテンや吊り尾根、北穂などのコースが紹介されていて興味深い。ザイテンも結構厳しいところがあるのだと認識したが
来年は絶対に行かなければと思った。
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上映中ではあるが、ちょっと飽きてきたので部屋に戻ることに・・・。 戻るとあとからきたカップルがもう布団をしていて寝ていた。他にすることも
ないのでとりあえず布団を敷く。
再び談話室などで過ごすが、歯を磨いて寝ちゃおうということになった。外に出ると本格的に雪が降り続いて地面は新雪で白くなっていた。このまま
降るとさらに積もりそうである。しかもガリガリに凍っていた。さらに上空は風が強いようでときおりゴオオ〜と鳴っていた。明日降りられるのだろうか・・・
歯を磨き終え、小屋に戻り早いけど就寝である。時間は8時前かな?
前回の時は夜半から星が見えていたが、今回はどうだろう? 風とともに凍った雪が窓にザザザっと打ち付けていた。
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ざわざわしていた小屋の中もいつしか静かになり消灯していた。早めに寝たので10時過ぎに目が覚める。meaさんはスースーと気持ちよさそうに
寝ていた。窓から外を見ると星が!! やや雲はあるものの星が出ていたので、撮影してみようと静かに支度をして小屋の外に出てみた。上空は薄い雲で
覆われているが吊り尾根や前穂、屏風岩の上空には星が輝いていた。雲の動きが早いので星空撮影には向かないがせっかくなので撮影してみる。
撮っていると尾根の上からゴオオ〜と音がしてやがて山肌を駆け下り雪冤を巻きながら風が吹いてきて寒い〜〜!! サラサラとした雪が吹雪のように
舞い上がる夜の涸沢。寒いんだけどなんとなく和むのはお馬鹿だからでしょうか?(^^;)
テント場はまだチラチラとライトが灯り寝ていない人もいるようだ。西の空には月があるようで吊り尾根の上の雲がほんのりと明るかった。このまま時間が
経てば晴れるかもしれないという感じである。とりあえず寝てもう一度起きてみようと、数枚撮影してから小屋に戻り布団に潜り込む。はぁ〜温かい・・・。
■10月21日(日)(快晴★)
涸沢ヒュッテ(7:45発)・・・・本谷橋(9:35頃・休憩)・・・・横尾(11:00頃・休憩)・・・・徳沢園(11:55頃・休憩)・・・・
徳沢園(13:00頃発)・・・・明神館・・・・河童橋(14:35頃)・・・上高地バスターミナル(14:45発)==(タクシー)==
沢渡・第二駐車場(15:10頃着)===松本IC==長野道==上信越道==高崎==東京
夜中の2時ころ目が覚めると風がやみ静かになっていた。もしや? と思って窓から外を見ると沢山の星が見える! こりゃあ満天に違いないといそくさと
支度をする。
小屋の外に出ると足元の雪はガリガリになっている。テラスから見上げると満天の星であった! おおおお〜! 何度見てもここの星は凄い! 雪のついた
穂高の峰峰が白く浮かび上がって幻想的である。小屋の灯りが届かない場所に移動して撮影だ! 撮影しながら眺めていると時々流星が流れる! 1分に1回
くらい流れるのでかなり楽しめる。この日極大日を迎えたオリオン座流星群のようだ。いくつか画面内に入ったが速いので写らなかったのが残念…
テント場ではポツポツと灯りがついている。稜線に登る支度でもしているのかな? 気温は氷点下だがそんなに寒さは感じなかった。風があれば最悪だろうな…
避難小屋裏あたりは暗くて星見には良いポイントだ。見上げる白い稜線と満天の星、ほんとに美しい! いつまでも眺めていたいがもうう少し引いたアングルで
撮ろうと移動する。どこにしようかと迷ったがパノラマコースを登ってみた。ライトで照らしながら登ってゆき昨日敗退した岩の手前あたりに座り込み撮影してみるが
ちょっとヒュッテの常夜灯が明るすぎる…(-.-) なんとか画面から外して撮影であるがあまり良くない・・・。 しかし、夜中にこんなところから撮影しているやつ
なんていないだろうな・・・フフフ よく見るとテント場でうごめく光が? 何してるんやろ? 端の方に移動して止まった… トイレかも…(-o-;)
さて、夜明けまでまだ時間もあるし仮眠しようと小屋に引き上げた。
3時過ぎなので皆さんまだ寝ていて静かだ。そ〜と布団に潜り込んだ。はぁ〜温かい・・・。
でも歩き回ってすっかり気分が高揚していてあまり寝られなくて4時半には起きて窓から外を眺めて時間を潰した・・・。
5時頃にmeaさんを揺り起こすが、また寝てしまったようだ(^_^;) しかたなく1人でテラスに出て見ると白み始めた空が白い穂高を青白く浮かび上がっていた。
はぁーなんて美しいのだろう〜!!! 鳥肌が立ってしまった! 青白い空にはまだ星が輝いている。ほんとに美しい〜★★★ こんなのは見たことがないので
しばし呆然と見てしまった。
見ているうちにmeaさんもやってきた。朝飯まであまり時間がないが、しばし撮影して夜明け前の凛とした涸沢の空気を満喫する。
朝食は5時半。時間が迫ったので小屋に戻るとタイミングよく用意が出来ましたとスタッフの言葉が! 早く食べてモルゲンロート見るべ!とバクバクと食べる!
メニューは普通かな? 量も丁度いい感じ。
食べ終わりカメラを持って外に出ると沢山のカメラマンがテラスに並んでいた。テントの人たちかな? 三脚をセットする場所がないのでテン場横の避難小屋裏に移動。
既に数人のカメラマンが来ていた。meaさんが大岩の上に行こうと言うので移動すると、タイミングよく稜線がほんのりと染まり始めた! キタ〜〜〜! 次第に
色濃くなりモルゲンロート本番だ! おおおおお〜 美しい〜★ ゆっくり眺める暇もなくバシバシと撮影する。雪があるので余計に赤味が増すようだ! 奥穂も
涸沢槍も北穂も染まる! 赤い帯はゆっくりと山腹に下がり赤見も次第にオレンジ色に変わってゆく。
すっかり撮影に没頭していて我に帰りキョロキョロするとmeaさんがテン場を超えて下の方に歩いていたので追いかけた。ゴロゴロした石も雪がついて
ガリガリ状態で歩きにくい。テン場からちょっと下った岩の所で追いついた。
すっかり葉が落ちたナナカマドの赤い実がたわわになっていてオレンジ色になった穂高の峰峰との組み合わせがなんともいい感じである!
見上げれば北穂が大きい! しばらく記念撮影など楽しむ。 そして涸沢小屋まで行ってみようと思ったがカメラの電池がなくなってしまった。いつもは
持ち歩いてるのに小屋のザックに忘れてきたので一旦取りに帰ることに・・・
小屋では相部屋だったカップルはすでにきれいに布団をたたんでいたので、こりゃまずいと思い我々のもたたんで積み上げた。
外に出るとmeaさんが戻ってくる途中だったので合流して涸沢小屋に向かう。カールのおわんの底はまだ陽があたらず寒いが稜線のあたりは白く輝いて眩しい!
北穂への道を登ると涸沢小屋だ。テラスのベンチはほとんど解体されていた。またテラスの角の柵は壊れてしまったようでロープが張られていた。コーヒーを
飲もうと思ってたがまだ支度中で駄目だった…残念…
ヘリポートの方に行ってみると初老のカメラマンが北穂沢を撮影していた。ちょうど前穂稜線の先端あたりから陽が昇る寸前で北穂沢は眩しいくらいに輝いている!
さすがに今朝は誰も登ってないようだ。上の方はガチガチに凍っているだろうな・・・
涸沢小屋をあとにヒュッテに戻った。
光はすっかり強まり穂高の峰峰は一段と白く輝き神々しい!! ヒュッテに戻り先ほど飲めなかったコーヒーを頂く。前回も飲んだが大きなカップでこの時期は
自分で注ぐことが出来る。通路には下駄箱があるので出立する人で賑わっていた。パノラマコースの様子を聞く登山者もいるが、小屋主さんは大丈夫ですよ!行けますよと
淡々と堪えていた。雪があるのに本当に大丈夫だろうか? 聞いているだけでもいくつかのグループが行くようだ。我々は昨日敗退しているので行くことはやめたが
再チャレンジも脳裏によぎった・・・。 すると、槍が見えるところはどこですか?と聞いてくる若者に壁に貼られていた絵地図を見ながら説明する。一度も行った
こともないのに何度も行っているかのように説明している我々って・・・(^^;)
下山のアプローチも長いので部屋に戻り下山の準備である。同部屋のカップルは早々に出発していった。ガシガシと荷物を詰め込み部屋を出る。ザックを背負い靴を履き、
さて行きますか〜と外に出た。雪の着いた石段を慎重に下りパノラマコース分岐。数人のグループが向かっていった。その中にはあの若者もいる。
ふと気づいたが、周りの木々の葉っぱが無い!? 全部落葉しているのだ! 昨夜の風と雪でいっぺんに落ちてしまったようだ。一夜にして秋から冬の光景である。
雪と落ち葉でスリップするのを注意しながら涸沢小屋分岐まで下る。パノラマコースを見ると先頭の人が我々が敗退した崖で立ち往生していた。どこに足を置いていいか
わからないのだろう。暫く張り付いていたが進退窮まり引き返した。あ〜やっぱりあそこは厳しいよね・・・そのあとあの若者がチャレンジするが、これまた立ち往生して
引き返してしまった。雪があると難しいのだ。それに一部手をかけられる岩が剥がれそうになっていたのでこれもかなり怖い。
そんな様子を見ながらゆっくりゆっくりと下る。白く輝く穂高の峰峰がほんとに素晴らしく、いつまでも見ていたい気分だ。こんな真っ白い穂高を見られるなんて
幸せである。来て良かったと心底思った。
涸沢は凍っているのか水の音がない、沢沿いの登山道は色とりどりの落ち葉でいっぱいでちょっと綺麗。さっきの崖のところを見ると違う団体が挑戦していたが、
意外とスルスルと渡ってしまった。ベテラン組のようだ。さらにその遙か前方を歩く単独のおばちゃんも慣れた歩きでスイスイと崖を乗り越えてコルの方に向かって
いた。ん〜凄い!!
写真を撮りながらズンズンと下るが、足下は雪が凍っているので油断できない、ガレ場は特に慎重に歩いた。北穂下部や本谷の紅葉も見事に落葉している。これほど
見事に変わってしまうのがアルプスの秋なんだろうな。一気に季節が変わり冬へと向かうのである。
朝からずーと快晴で周辺の山々はスッキリと見えていた。本谷奥の尾根も白く輝く。北穂東壁、南岳の南稜のゴツゴツした岩も白く輝く、ときおり風で雪冤が
まきおこり稜線が風の強いことが判る。振り返る奥穂の稜線にも雪冤が舞い上がっていた。
やがて本谷出会いあたりから急降下である。ここも日影で凍っているので慎重に下ってゆく。結構登って来る人もいて今日の涸沢も賑わいそうだ。こんな時間に
来ると言うことは徳沢か横尾にテントの人たちだろうか? ときおり風が吹くと木々に残っていた葉が一斉に舞い上がる。
沢の音が一段と大きくなると本谷橋に到着だ! 陽の当たる場所で休憩する。このあたりはあんまり落葉していないようでまだまだ昨日と同じくらいに見頃で
あった。蝶が岳にもまだ冠雪が見られる。北穂も白く輝き美しい! 標高が高いので溶けるスピードも遅いようだ、数日中にもう一降りあれば確実に根雪だな。
持ってきたリンゴを剥いて食べる。山の上でのジューシーな果物はほんとに疲れが癒されます。
小腹も膨れたので出発だ! あの小さな簡易橋を渡る。渡り終えて、そういえば来るときは本谷橋渡ってないや! ってことで一人でユラユラと吊り橋を渡って往復
してきた。
橋からゆるゆると下る。見上げる屏風岩は相変わらず迫力満点だ! 太陽が逆光過ぎてうまく写真が撮れないのでその眩しい雰囲気だけ撮ってみたりしてみた。
どんどんと下ると本谷の紅葉と北穂がいい具合に見える場所にやってきた。輝く紅葉、輝く北穂! ん〜素晴らしい! 更に進むと大キレットも見えてきた!!
おお〜!! 白い大キレットにちょっと感激である。
なんでもない緩やかな道だが、こういうところで怪我をするものだ。なので注意を払うのだが、やってしまいました。ちょっとした窪みでグギッと足首捻り
ピリッと傷みが・・・そのときはそんな感じだったけど、直ぐに歩くたびに傷みが・・・ 少し堪えて歩いてると傷みは消えてしまった。おや?なんだったの?
足首をぐりぐりと動かしても傷みがないので治ったと思い、そのまま歩いた。
緩やかな坂道は終わり川沿いの平坦な道を歩き、ほどなくして横尾大橋が見えてきた。ふ〜着いたか〜! 橋からは昨日はあまり見えなかった明神岳も白い
頂を見せていた。
橋を渡り終えるとハタと気づいた! 葉がない!!?? 橋のたもとに黄葉した木があったはずだが、その木の葉っぱが全て落葉していたのだ! これには
ほんとに驚いてしまった。昨夜の冷たい風と雪のせいで一夜にして落ちてしまったのだ。こんなにいっぺんに落ちるものかと疑ってしまうほど見事な落葉である。
横尾でちょっと休憩してから歩き出す。朝からの晴天はまだまだ続いていてとにかく気持ちの良い青空が続いている。梓川の奥に見える白い山は常念岳かと
思ったが違うようだ・・・なんじゃろ? 山の名前は判らないけど視界良好で気持ちがいい!!
樹林の中は日差しも柔らかくてこういう感じの中を歩くのは気持ちがいい。浅く色づいたダケカンバの枝の向こうに白い明神岳の岩峰が聳える。あの山はクライマー
でしか行けない山なのだ、その手前をパノラマルートがあるのだがここからではちょっと見えない。
歩いていると足首が急に痛くなってきた。治ったと思っていたがやはり勘違いだったようだ。ズキズキと歩くたびに傷みが走る。激痛でもないので歩くのには
それほど支障はないが痛いのはどうしても気になる。とにかく徳沢まで行って湿布しようと頑張って歩いた。やがて黄葉に包まれた新村橋を横に見て更に歩きほどなく
して徳沢に到着である。
今回徳沢園で目的がひとつある。名物のラーメンを食べることだ! 穂高好きさんたちの間でも話題になっていたので是非ということだったが限定50食なので
食べられるか心配であった。治療はあとにしてまずは食堂に入りスタッフに確かめると、「12時半からです」という返事だった。普通はお昼前には仕込みは
終わっている筈だけど山だからこんなもんだろうか? せっかく来たのだからととりあえず待つことにした。待つ間に湿布を貼り応急処置完了。カプチーノなど
作って頂きながら時間を潰した。
12時15分頃、どんなもんかと聞きに行くとさっきとは違うスタッフが予約を受け付けてくれたので早速代金を払い予約する。ふぅ〜これで食べれるね〜と
ひと安心。メニューにはいろいろあって手作り豆腐もあったのでちょっと食べてみるべと注文する。出てきた豆腐は市販のものとそんなに変わらない感じだったが食べると
やはり濃厚な感じである。外はやや堅め、中身はとろりとした感触だ。
食べ終わる頃、さっきのスタッフが来て、「ラーメンは1時からになりそうですのでとりあえず代金はお返しします。」と一方的にお金を返されてしまった。
あまり時間もないので仕方なくオリジナルカレーを注文する。しか〜し、このカレーがなかなか出てこない! 後から来た客が注文していたカレーが先に出て
きて運ばれていった。おいおいどういうことだ!? スタッフに催促すると、厨房が混んでますので暫くお待ち下さい・・・。 しかしその後も待っても出てこない、
そのスタッフも交代してしまった・・・。 ラーメンの時間になってしまうぞ! 違う客がそのラーメンを予約していたので
業を煮やしてスタッフに詰めより、カレーが出てこないと苦情をいい、ラーメンに変えてくれと言ったが、なんと先ほどの客で売り切れですという始末!!
嘘でしょ〜(T_T)!! まだ50食は出てない筈なのに・・・ 仕方なくカレーを早く出してと文句を言うが、それでも直ぐには持って来なくてプンプン状態で
退席した!! 時間がないのでザックを背負い出発した。結局なにも食べれないままだが、カレーを注文して40分近くも出てこない、しかも途中で催促している
のに出てこないのだからスタッフの怠慢としかいいようがない。はっきりいって徳沢園は我々にはかなりのイメージダウンである。 でもラーメンは気になるので
いずれは食べたいぞ!! しかしどう考えても50食は出てないので、もしかすると宿泊客の注文を優先しているのかもしれない・・・。
意外にもそれほどお腹は空いてないが気分は良くない・・・当たり前か・・・。
湿布が効いてきたのか足首の傷みは消えていた。それでも念のためストックを使って痛めた足首を
かばいつつ上高地に向かってひたすら歩いた。このあたりから見える梓川奥の山はどうやら大天井岳だと判明。更に歩いて行くと常念岳、蝶が岳も冠雪して見えていた。
明神館に近づくと観光客も多くなる。へんな親子連れや外人さんまでトボトボ歩いている。休憩はせずに更に歩く。
まだまだ天気はすこぶるよくて快晴状態の青空が広がっている。前回は見れなかった西穂高や奥穂の風景を見れそうである。
白砂の道をズンズンと歩き更に賑やかになってくると小梨平キャンプ場だ、その脇にある小道を少し歩くと梓川に飛び出る!そして目の前に冠雪した白い岳沢、西穂、奥穂、
吊り尾根、前穂と連なる穂高の山々が青空にスッキリと見えていた!! ん〜美しい!! 岳沢の黄葉はまだこれからという感じだが色づき初めてなかなかいい
光景である。そして清らかな梓川が眼下を流れてゆく。ほんとに絵になる光景だ。
写真を撮ってから川沿いの歩道を上高地に向けて歩く、逆光の彼方に焼岳も見えていた。
そして、大にぎわいの場所に出ると河童橋である。あっちもこっちも記念撮影で大人気! 河童橋と冠雪した穂高の峰峰が上高地らしい光景をカモしだして
いる。ま、記念写真的にしかならないが数枚撮影した。
橋のたもとのお土産屋さんにmeaさんがフラフラと歩いてゆく。。。やっぱりお腹は空いているようでニオイに誘われた感じだ(^^;) 僕も後に続いて豚まんを
購入〜ハグハグ・・・温かくて美味しかった〜(*^o^*)
食べながら上高地バスターミナルに到着。タクシー乗り場に行くとズラリと並んでいて、待機中の運ちゃんに促されるままに先頭のタクシーに乗車。即座に出発と
なった。今思えば、土産物もちょっと見てくれば良かったな〜と思ってしまった。
一般バスの規制日とあって道はガラガラでタクシーは順調に走る。途中、大正池越に見える焼岳や穂高の峰峰がいい感じであった。正月には大正池ホテルが
営業しているというから、なんとか泊まりに来て厳冬の穂高を見てみたいものだと思った。遠ざかる穂高を眺めては、来年は稜線に絶対に登るぞと堅く決意するので
あった。
タクシーは釜トンネルに吸い込まれ楽園から現実の世界に引き戻されるのであった・・・。
今回はなんといっても雪の穂高の峰峰を間近で見られたことが一番の収穫である。あれだけ積雪してるとは思わなかったので感激も一入だ。そして、再びの
満天の星、モルゲンロートも見れたし前回以上に興奮した涸沢であった。
遠くまで運転してくれたmeaさんと、素晴らしい景色を見せてくれた穂高の神様に感謝であります。ありがとう〜(^o^)/
おしまい・・・