山歩きへろへろ日誌

2005年2月26日〜27日 厳冬の北八ヶ岳

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登 山 日2005年2月26日、27日
ル ー ト ■2月26日(晴れのち曇り、時々雪)
三鷹駅〜茅野駅〜ピラタスロープウェイ−坪庭(10:15出発)−五辻−麦草ヒュッテ(12:30着)−
 麦草ヒュッテ(13:30出発)−白駒池−高見石小屋(15:00着)【泊】
■2月27日(快晴のち晴れ)
高見石小屋−丸山往復。高見石小屋(8:30頃出発)−賽の河原−渋ノ湯温泉(10:00頃着)−茅野駅−三鷹駅
登 山 者てばまる、Meaさん

■2月26日(晴れのち曇り、時々雪)
 
 今年初の本格的冬山登山の日がやってきた。かねてから計画していた北八ヶ岳だ。北八ヶ岳は冬山入門コースとして人気のある 山域でルートもしっかりしていて赤旗の目印もあり安心だ。そんな北八ヶ岳には数年前に一度訪れたことがあるが日帰りであまり 満足のいくものではなかった。今回はそのリベンジの意味も含めての計画だ。
 ルートは、ピラタスロープウェイから坪庭−麦草峠−白駒池を経て高見石小屋へ。下山は時間的な制約もあって渋ノ湯に下るという 一般的なコースだ。しかし、標高2100m以上の高所のため気温も低く積雪も多い。油断すると遭難にも結びつくので気を引き締めて の出発だ。といきたいが出発前からトラブル発生。Meaさんがストックを忘れてきたということで、仕方なくうちにあったのを 使うことになった、ただ違うタイプのストックが片方づつなのでグリップの太さも違うし重いしでちょっと使いづらいかもいれない。ま、 無いようりマシなので、我慢して使ってもらうことにした。
 
 出発当日は晴れ、関東南部では前日降った雪がまだ溶けきれずに残っていた、この分では山の方も新雪が期待出来そうだ。1番の特急で 茅野駅に到着。バスはまだ先なのでタクシーを拾ってピラタスまで向かった。小雪が舞う天気だが八ヶ岳に近づくに従って晴れてきた 白く輝く峰峰が近づいてくる。ちょっとドキドキだ! タクシー代は約7000円。2人で割ればそんなに高くはないのでバスが無い ときは便利である。
ロープウェイから南八ヶ岳方面。山頂駅前で仕度をする。北横岳を望む
 ピラタスはスキー場の名前で結構人気のスキー場だ。ここからロープウェイで坪庭まで上がる。スキーヤーや登山者も入り交じり すし詰めのロープウェイが出発。ぐんぐん高度を上げてゆくと北八ヶ岳に続く南八ヶ岳の一部が見えてくる。いづれは行ってみたい 山である。おおよそ10分ほどで山頂駅に到着。標高は2240m。日が差しているというのに氷点下12℃! 極寒だ! 早速準備をする。 今回はスノーシューを持参した、場合によってはアイゼンも使うことになると思うがとりあえずスノーシューで歩く。Meaさんは アイゼンで歩き出した。前回とは違い積雪量も十分で、サラサラのスノーパウダーだ! 廻りの木々には白く樹氷となっていた。おお!! 綺麗だ!! これが見たかったのだ〜!! と声を出しながら歩く。南アルプス方面は雲がかかり見えないのだが残念だ。ときおり風が 吹くと雪が舞い上がり、キラキラ輝く。写真をバチバチと撮りながら歩く。暫く進んでいる内に雲が覆いだした。おや?怪しくなって きたな〜 と思いながら更に歩いていると、雪が降り出した。うむむ、天気は良くないのかな? 確かに寒気が来ているので雪が降っても しかたがないのだが、大崩しないで欲しいと思った。
前夜までに降った雪が木々に着雪していて綺麗だ。こういう景色が見たかったのだ。青空とのコントラストが美しい
 坪庭からはゆるゆると下る道だが積雪量も豊富、最初は歩けていたMeaさんだが雪のしまりも悪くなってきたのでスノーシューに 履き替えることになった。五辻というところに東屋があるのでそこで休憩がてら履き替える。廻りをすこし散策してみると木の皮が 削られているのが沢山あった、どうやらカモシカが囓った後のようだ。
カモシカのハミ跡がいたるところについていた。2人人型 
樹林の道をサクサクと進む。風雪の中、国道をひたすら歩く・・・
 ここで、恒例の?人型を試みた。サラサラの雪だがなんたか跡がついた。2人そろっての人型はこれが初めてかな? 記念に1枚 撮影した。ふと、近くに変なのがあった。雪で作った小さなカマクラだ。誰が作ったのだろうか? 中に火を灯せば綺麗そうだ。
 五辻を出発して更に歩くと漸く登山者に出くわした。そういえば、特急の中には沢山の登山者がいてほとんど茅野で下りた筈だが どこへ消えたのかな?やっぱり南八ヶ岳に向かったのだろうか? ピラタスに来たのはほんの数名のようだった。
 着雪した樹林の中をサクサクと進む、途中の分かれ道から麦草峠に行くつもりだったが、出たのは国道だった。間違えてしまった ようだ。実は前回も国道に出たので今回は間違わないようにと思っていたが、またまた出てしまった・・・。我ながら情けない・・・ でも、前回よりは麦草峠に近い方に出たようである。ま、気休めだが・・・ とにかく歩かないと行けないので国道を上る。このころ から雪がふりしきりときおり吹雪いてきた。う〜む。大丈夫かな? ちょっと心配になってくる。 緩い上りだが雪があるので歩き にくい・・・。やがて看板が見えてくると麦草峠に到着だ。時間も想定した予定どおり12:30分に到着。
麦草ヒュッテ 
全面結氷の白い白駒池だ! 
寝ころんだりして戯れる。
 ヒュッテの中に入り食事を取らせてもらうことにした。でも、何か食べないと休憩は出来ないそうで、お茶代という形で払えば休んで持参した物を食べても良い ということで早速250円払った。熱いお茶とクッキーが2枚ついていた。2人なので2枚かな?(^^; 先行で来ていた登山者が先に 経ち入れ替わりに4人グループがやってきた。彼らもご休憩ということでお茶代を払ったりしている。暖かい暖炉を囲んで食事をする。 4人グループは縞枯山を登ってやってきたということだ、そして、白駒池を経由して高見石小屋に泊まるという僕らと同じだという ことですっかりお互いの顔を覚えてしまった。食事も終わったので、行くべしか〜! と外に出る。暖かい小屋の中とはうってかわって 寒い寒い白い世界に逆戻りだ。ここから先は未踏の地で右も左もよく解らないが案内板と地図を見て歩き出す。白駒池へは国道からのルート もあるのだが、今回は樹林ルートを選択した。小高い丘に一度登り雪道を歩く、少しアップダウンを繰り返しながら進む。あとからあのグループも 出発して僕らの後を追っていた。暗い樹林の中に入ると静寂の世界だ。風の音しか聞こえない・・・ 夏ならコケがいっぱい生えた場所で あるが今は雪で真っ白だ。そんなちょっと薄暗い中を歩くと分かれ道に出る。どちらも白駒池に続くが右は白駒荘へ左は青苔荘へ続く。 今回は白駒荘脇から上るので右へ進んだ。後からきた4人は左に向かったようだ。暫く樹林を進むと突然ひらけて白駒池に飛び出した!! わぉ〜〜!! これが白駒池か〜!! 初めて見るその姿! しかも凍って雪が積もり真っ白だ!! 小走りにバタバタと走りだす! フワフワの雪の上を歩く、そこはもう池の上! なんだか不思議な感じだ。荷物を放り出して、しばし雪と戯れた! 雪の上に寝っ転がったり スノーシュー競争をしたりと、あ、僕が勝ったのに賞品のマッサージやってもらってないな〜 むむむ、後で倍にして返してもらうぞ!!
 雪もやみ、少し青空も見えている。でも、全体的には曇り空だ。さっきのグループが引き返してきて近くで遊んでいた。別の男だけグループも 池の中に入って歩き回っている。みんな童心に返るんだな〜と思った。
 男女4人グループが出発したので僕らも出発することになった。僕らは白駒荘脇から高見石に直接上るルートを選んだが、4人グループは 尾根ルートを選んだようだ。どちらも時間は変わらないのだが、僅かに直登ルートの方が早く着く筈である。
 登り始めるといきなり急な登りが続く、トレースもしっかりしているので安心だ。でもスノーシューやスキーの跡がない。そう、このルートは 徒歩向けルートなのだ。そこをあえてスノーシューで登った!! 我々はチャレンジャーなのだ!! というのは建前で本当はアイゼンに 付け替えるのが面倒だっただけである。でも、とりあえず行けるところまで行こうという感じで登ってゆく。急登と緩斜面を繰り返し、ふくらはぎ がパンパンになるころ、尾根らしきものが見えてきた、石があるな、着いたか?? 更に歩くとはっきりと屋根が見えてきた。高見石小屋の 屋根だ! ふ〜やっと着いたか〜、と同時に向かい側の登山道から例の4人グループがやってきた、なんとほぼ同時に到着したのだ。どうもどうも とばかりに小屋のテラスに上がった。以前、写真で見たのと同じテラスがそこにあった。なんだか不思議な感じだ。そして小屋の脇に石が ゴロゴロあり、これが高見石のようだ。早速とばかりに登ることにした。岩の間の雪道を少し登ると一気に視界が開ける! 大パノラマだ! すげ〜!! とばかりにキョロキョロと眺める。眼下にはさっきまでいた白駒池、そして歩いてきたピラタス方面の山、後ろには中山、雲で 覆われているが南アルプスもあるはずだ! 憧れていた高見石の上に立つことが出来たのだ! いったん下りて受付をする。
高見石小屋のテラス。ゴツゴツした岩の高見石と小屋の屋根が見える。眼下に白駒池
 高見石小屋はランプの宿として人気の小屋だ、入ると沢山のランプが吊ってあった。そのうちの数個に灯りが灯っている。夜は全部灯る のかな? 受付をすませて部屋に入る。今回は個室をチョイスした。2階には大部屋があり大勢の人が雑魚寝する形式だ。暖房はコタツと ストーブがあるのでそんなに寒さに震えることはない。個室はストーブだけだった。4畳半しかないのでストーブだけなんだろう。個室の 天井は天窓があり、空を見ることが出来た。ただ冬は雪が被っているので眺めはよくない。普通の窓も堅く閉ざされている。高い天井に 提灯のような電灯がありそれが天窓に映って綺麗だ。
 暫く休息してから再び高見石に向かった。さきほどより青空も広がっていてこれ以上 天気が崩れることはなさそうであった。よしよし。 そこへ例の4人グループがやってきた。お互いの写真を撮ってあげたりして交流を 深める。一期一会の出会いになるだろうがこのときの景色や澄んだ空気を共有した出会いを大切にしたいと思った。
噴煙を上げる浅間山も茜色に染まる。蓼科山、縞枯山方面夕暮れ迫る白駒池
 気温はやはり−10℃近くと寒い。雲が多いが、もうしばらくすれば夕焼けになるかもしれないと少し待ってみた。が、僅かに雲が 染まっただけで夕焼けに染まることがなかったのが残念だ。それでも、雲間に見えていた浅間山が噴煙とともに夕陽を浴びてあかね色に なっていたのが印象的だ。
 
 夕食が5時半からなので急いで戻るとすでに食べ始まっていた、池田さんですか、という従業員にせかされて開いてる席に着いて 食べ始める。どうやら食事は交代制であるようだ。この日の宿泊者は50名ほど?でそのほとんどはスノーシューツアーの客だ。その人 たちがこのあとに食べるようであった。
今晩の夕食。すき焼きとクリームシチューなど個室は天窓があった。 
ここは食堂。ランプの下で食事をするのもなかなか良いものだ。ランプが灯る談話室。中央には暖炉が鎮座する。 
 夕食メニューは、すき焼き、野菜、クリームシチューがメインとなっている。このすき焼きが美味しく、シチューもなかなかである! Meaさんもご飯をお代わりして平らげた。 お腹も膨れたので部屋でくつろぐ。ストーブがあるとはいえ気温はぐんぐん下がっていて 部屋の中はかなり寒い。なので布団をしいて潜り込んだ。部屋の布団は羽毛ですこぶるフワフワだ。毛布もフカフカしていてとても 山小屋の寝具とは思えない。尾瀬沼ヒュッテも良い寝具だがここのは更に良い感じだ。
 暇なので暖炉のある談話室に移動。ランプがほのかな灯りが部屋を照らしている。沢山灯っているわりにはかなり薄暗い。本来の山小屋 の明るさなのだろうが、この明るさでは本を読むのは厳しいかもしれない。
 午後7時からミーティングがあります〜という声が聞こえていた。スノーシューツアーの総勢が集まって翌日のミーティングと宴会が 行われるようだ。子供を含めて30人くらいだろうか? ぞろぞろと集まってきて食事をしたテーブルを囲む。数分のルート説明の後、宴会 が始まった。一気ににぎやかになる。小屋からは日本酒も振る舞われ、ツアー客が持ち込んだワインやお菓子なども加わる。お酒が回ると 怒濤の宴会モードだ! おばちゃん、おじちゃんの弾む会話と笑い声が小屋中に響き渡った。ツアー意外の人には寝ている人もいるのだが 小屋の人は静止する様子もない。うむむ、消灯の9時まで続くのだろうか? まだ7時だぞ・・・。
高見石小屋名物のお汁粉。
 その騒々しさにあっけに取られながらも暖炉のそばでくつろいだ、Meaさんは山仲間から情報を仕入れたという名物?の「お汁粉」を食べたいと しきりに話していた、こんな夜に作ってくれるのかわからないが、意を決して頼んでみると快く作ってもらえた。1杯450円と山としては 標準価格かな〜と思うが、お餅が3切れ入っている。何故がカリカリ梅もついていた。さんざん拘っていたわりにはMeaさんは一気に食べてしまった。 もうちょっと味わえよな〜と突っ込む。僕はチビリチビリと味わいながら?食べた。なかなか美味しいお汁粉である。欲を言えばもう少し甘い方が良いな(*^_^*)
 宴もたけなわだが、流石に疲れてきたので部屋にもどり布団に潜り込んだ、しかし、宴会はいつまでも続く・・・。 星は出てないかと 外に出て見るが雲が立ちこめて何も見えない。たしか月があるはずなのだが、、、まだ出てないのかな? 月明かりで撮影にと小さい三脚を 持参したが駄目そうなので小屋の灯りを撮影してみたが、あまり面白くなかった。とにかく寒い!! 夕方近くにテントを張るのを見かけ たが灯りがついていた。中には3人いる筈だが、寒いだろうな〜とチラリとテントを見てからいそくさと小屋に戻った。
 
 午後8時、本格的に寝ようと布団に潜り込む。直ぐ隣が食堂なのでとにかく五月蠅い。午後9時消灯の時間になってやっと静かになった。 部屋には「他のお客様が寝てることがあるので静かにしましょう〜」と注意書きがあった。食堂では騒いでもよいのだろうか? あの騒がしさ が嘘のように山に静寂に包まれる。この小屋にはときおりオコジョが現れるということだが今宵は騒がしいのか出てくる様子はなさそうだ。
 実は小屋に着いたころから頭痛がしていた、それが時間が経つにつれて更に痛くなっていた。微熱でもあるのかな? 山にくると時々こう なるのだ体質だろうか? とにかくノーシンを飲む。ノーシンは解熱と頭痛にも効くので便利である。
 
 こうして北八ヶ岳の夜が更けてゆくのでありました。。。
 
 
■2月27日(快晴のち晴れ)
 
 夜中に目が覚めた。天窓からほんのりと明かりが見えている。どうやら月明かりのようだ晴れてるのかな? 月明かりの撮影もしたいと思っていたのだが、 寒いので決めかねていた。そのうちまたうとうとと寝てしまう。フカフカの羽毛布団は非常に寝心地が良くてまったく寒くもなかった。
 再び目が覚めて、トイレに行こうと起き出した。高見石小屋のトイレはなんと外にあるのだ。小屋内にもあると聞いてはいたがどこなのか分からず。探すの 面倒なので外に出る。靴は面倒なのでサンダルでザラザラに凍っている雪道を少し歩いた。トイレまでは少し傾斜しているので何度も滑りそうになる。 用を済ませて帰る道、空を見上げると雲が薄くなっているところにおぼろ月が見えていた。気温はいったい何度だろうか? かなり寒い。
 テントの人たちは熟睡できるのだうか?とちょっと心配になった。高見石に上ろうかと思ったけど流石にサンダルでは・・・ということで 諦めて部屋に戻った。ふかふかの布団にもぐりこみ、再び寝入りする。そういえば、頭痛は薬のお陰か少し和らいできたようだ。良かった・・・。
 
月明かりが残る高見石静寂の高見石日の出の瞬間!!
 午前5時ころ小屋の中が活気づいてくる。従業員が動き出したのだ。大半の宿泊客はまだ寝ているがそろそろ起きだす人もいる。晴れているかな? と外が 気がかりだ。暫く布団のなかでウダウダして、5時半ころ支度を開始。Meaさんも起きてきた。寒そうなのでウェアはしっかりと着込む。目出し帽と毛糸の 帽子を二重に被った。靴は湿ったままだったので凍って履きづらい。なんとか履いて外に出ると。。寒っ!!!!! なんですかこの寒さは〜 でも空は晴れていた。 よしよし、早速、高見石に上る。ふと振り返ると西の空に月がまだ残り輝いていた。おお〜美しい〜 地平線付近がオレンジ色になり日の出が近いことが わかる。聡明の夜明け。気温は−20℃。自分が体感した中では一番の寒さだ。風もあり僅かに露出している肌に突き刺さるようだ。手袋も二重だがそれでも 指先が痛かった。凍傷になる感じってこんなんだろうな〜と人ごとのように思ってしまったが、それよりこの凛とした空気の中の夜明けの瞬間の美しさが 刻一刻と迫っているのがなんともいえない高揚感を覚える。高見石にいるのはまだ我々だけで2人占めの状態だ。人工の音はなにひとつ聞こえない、自然の まっただ中、撮影をしながら立ちつくす。
 おじさんが一人上ってきた直後についに陽が顔を出した! 日の出の瞬間だ! おお〜! 綺麗だ! 夢中で撮影する。
モルゲンロートが始まった。遠く南アルプスも染まる。
 日差しがゆっくりと辺りを照らしはじめる。夜のうちに霧氷がついたようで木々は真っ白だ、そこに陽があたり山々が一斉にモルゲンロートに染まってゆく。あ〜綺麗過ぎる〜!
 そ、それにしても寒い、、、Meaさんは耐えかねたようで小屋に引き返した。僕は我慢して撮影を続行。遠く浅間山や南アルプスの山肌も染まる。絶景だな〜  スノーシューツアーの食事が終わったようでゾロゾロと上ってきだした。おお、もう食事の時間か・・・ 白駒池に陽が指す瞬間を見たかったが食事に 遅れてはいけないということで、後ろ髪をひかれつつ小屋に戻った。Meaさんが再び出ようとしていたが、もう食事だよ〜ということでテーブルに座った。
 
朝食はサクサクのパン!
 朝食はパンだ! 噂には聞いていたが、ほうほう、これが高見石小屋特性のパンか。どれどれ、と一つ食べるサクっとして暖かい、冷たいかと思っていたので 暖かいパンには感激した。おなかも減っていたので結局5個も食べてしまった。またお茶の代わりに紅茶もあり日本の山小屋の朝食とは思えない。人気が出る わけだな。
 部屋に戻り出発の支度をする。今日は早めに下山する予定なのだ。スノーシューツアーの人たちも同じ時間帯に出立するようで玄関口は混雑していた。
 スノーシューを履き、丸山に向かう。丸山は高見石小屋からほんの先にある小高い山だ、下山前に行ってみようということだ。ツアーの人たちもそこに向かったようだ。 小屋を出て霧氷の樹林を行く。しばらく緩斜面をゆるゆると歩き最後の急斜面を登ると丸山山頂だ。わずか15分ほどで着いた。
丸山展望台から見る南八ヶ岳の峰峰。枯れ木のびっしりと霧氷が!
 山頂はあまり展望は良くないが南八ヶ岳方面が樹間から眺めることができる。ここで小屋に戻るはずなのだが、Meaさんがいない! おや〜?? なんとツアーにくっついて歩いていってしまった ようだ。。。もう好奇心旺盛だからな〜 仕方なく僕も後を追うと急な斜面を下るところだった。深雪の中をどんどん下るのが面白そうだが、時間もないので 呼び止めた。でも、少し下まで行ってみたいらしくて、仕方なく、行ってこい! と許可を出す! かなり下まで下ってから嬉しそうに登ってきた。  時間があれば僕も行きたいところだ。実際、ウズウズしていたのだ(^^; このルートはまた次回に行きたいな〜と思った。それにしてもこの スノーシューツアーの面々はすごいな〜 何度も来ている強者集団のようだ。
霧氷が白く輝く。白駒池も見納めだ。中山峠の山も白くなっている。
 小屋に引き返して、下山前にもう一度高見石に登ってみた。青い空がどこまでも広がり、昨日とはうってかわって山々は白く輝いている。そうそう、雪山はこうで なくっちゃなんねえだぁ〜! まだ霧氷も残っているのでしばし撮影をする。
白い霧氷が青空に映える。賽の河原は麓から強い風が吹き上がる。 
賽の河原から南アルプス。荒涼とした風景。 
木々の殆どは風下(尾根)に向いている。美しい氷の結晶。 
 時間となったので、いよいよ高見石小屋とさよならとなった。午前8時半ころ下山開始。渋ノ湯目指して下るのだが、スノーシューでどこまで行けるのかは不安も あったが行けるところまで行こうという感じだ。道々のトレースはやはりはっきりしているので安心だ。木々に着いた霧氷が青空に映えて美しい。撮影をしながら ゆめゆると下る。やがて樹林を抜け一気に視界が広がった。賽の河原と呼ばれるところだ。ゴロゴロとした石が沢山あり荒涼とした感じである。しかし展望はよく 南アルプスや中央アルプスの峰峰が見えていた。眼前には中山の緩やかな山塊がある。事前情報で賽の河原はアイスバーンになることが多いと聞いていたが今日は 大丈夫なようだ。石があるがそれを縫うようにスノーシューのまま下った。
 谷間の場所なので吹き上がる風が強いらしくシュカブラが一様に上の方に向かって出来ている。風のない日でよかったと思った。エビのしっぽのようなものも 多数見られた。更に下ってゆくと、松の葉に綺麗な氷の結晶が沢山着いていた。霧氷とは明らかに違う。空気中の水蒸気が一気に氷に変化した感じだ。美しい。
 途中、初老のご夫妻と逢った。賽の河原が目標ということで渋ノ湯から上がってきたそうだ。
 
いくつかの橋を渡りながら下る。 
硫黄の臭いが漂う渋ノ湯温泉。 
草をはむカモシカたち。画面外にもう1匹いる。
 賽の河原を過ぎ樹林帯に入る、いくつもの橋を渡りながらどんどん下る。ところどころ氷化した部分があり2回ほど転倒してしまった。でもMeaさんはスイスイと 下ってゆく。身が軽いから転びにくいのかな?と思ったが、実際は、スノーシュー裏のアイゼンの形状の問題らしい。僕のはスパイクのような突起があるだけだが Meaさんのダブスのはギサギザの歯になっているので滑りにくいようだ。特に下りには威力を発揮する。本格的な登山に使うならしっかりしたアイゼン付きのが良いようだ。 いずれ新たに購入するかな。
 
 10時00分、ほぼ予定通り渋ノ湯に到着した。付近の川からは硫黄の臭いが漂っている。いかにも温泉地という感じだ。バスにはまだ時間がある のでゆっくり温泉に浸かることにした。渋ノ湯はかなり古い温泉で湯治客も来る。湯船は総檜づくりでかなり年月がたっているらしく黒々して歴史を感じさせる湯船だ。
なお、ここの湯は冷水なので沸かして使っているがそれほど熱くもなく、長時間風呂に入るのが苦手な僕でも長く入っていられる。でも、風呂全体が寒いので体洗うのは ちょっと辛いです。おまけに天井からポツリと水滴が落ち、もっと冷たい!! 
もうひとつ、脱衣室が暖房されてないのでかなり寒い!素早く着替えないと風邪ひきます、確実に!  すっかり暖まって外に出るとゾクゾクと登山者が下山してきた。これから風呂は混みそうだな。早く下りて正解だ! 後から出てきたMeaさんがカモシカがいるよ!と 言うので急いで館内に入った。山側の窓から覗くとカモシカが3頭雪が溶けたところで草をはんでいた。3頭とも雄のようで角がある。窓からの距離は10mあるかないかの 至近距離だ。窓から出て来れないのを知ってるのか悠然と食べている。窓を少しあけて写真を撮ると、ジロっと睨まれた。それでも逃げる様子もなくじつに堂々としている。 散々写真を撮ってその場を離れた。
 見たいと思っていたカモシカに最後の最後にとかも至近距離で逢えたのが嬉しい限りだ。また、曇りの予報を覆して最終日の快晴、そして日の出の瞬間も見ることが出来 大満足の北八ヶ岳であった。また来年にでも、別のルートで行きたいと思った。必ず行きたい!!  
 
 
 おしまい。  
 
帰りのバスの車窓からの南八ヶ岳の峰峰。いつかは行ってみたいナ!