相の谷と呼ばれて

 スバナ地区の最奥階段を上り暫く進むと浅い谷間に飛び出る。大概がスバナ
地区に住む住民の畑である。山間部に見られる典型的な段々畑の風景だ。田舎
出身の都会人には懐かしさを感じるかもしれない。
出羽では1家族に1つの畑があるといって過言ではなく野菜や果物を作ったり
して生活の足しになっている。ところがこの畑のには明確な所有権というか法
律的な固定資産税がかかるようなものではないというのが面白いところで、島
の地権者から無償で借りているといった方がよいだろう。なので空いている畑
があれば交渉して使うことが出来たりするのである。
 またこの相の谷の奥には杉林があったりするし、その昔には亜熱帯性気候を利
用して熱帯性の植物の栽培を試験的に行っていた所でもある。現在は不法投棄に
よって埋め立てられてしまったがここにはカナリーヤシというヤシが沢山植えら
れていた。今も谷の奥手に数株残っている。更に谷の奥には後に紹介するダムが
ある。

▲相の谷奥にある杉林とカナリーヤシ