シレトコスミレ類 地上茎あり

シレトコスミレ (知床菫)

撮影地:北海道・知床半島・硫黄山(2012.7.7)
  スミレ好きの憧れ。孤高のスミレにやっと逢うことが出来ました。
生育地 北海道の知床半島の山に隔離的に分布。 硫黄山〜南岳など(羅臼岳には無い。)。また近年択捉島にも分布していることが判明している。
生育地は、小石や砂地でいわゆるザレ場で非常に崩れやすいところに他の植物にほとんど接触することなく生えていることもこのスミレの特殊性が伺える。
開花時期 6月中旬〜7月上旬頃
草  丈 5〜6pくらい
花の状態 花色白色で中心部は黄色、個体によってはやや緑がかる。唇弁には紫色の筋が見られる。
花形直径1.5p前後。
側弁側弁には短い毛がある。
距 かなり短い。黄緑色。
萼片少し紫を帯びる黄緑色。毛はない。個体によってはまったくの黄緑色のものも発見されている。
葉の状態 葉形先がとがった心形。かなり厚ぼったく、光沢がある。縁は鋸歯がするどい。葉は表側に少し巻く傾向がある。
葉表暗緑色。毛はない。
葉裏淡緑色。毛はない。
托葉全縁
備   考  スミレ好きならだれしも憧れるシレトコスミレについに出会うことが出来ました。初めて見たときはとても感激でした。
 初めて見た2012年は咲きだしがとても早く7月上旬ではほぼ終わりで辛うじて見ることが出来たのはとてもラッキーです。
 しかし、機会があればまた見に行きたいと思ってます。
 
 生態形態ともにタカネスミレに似ているが、側弁に毛があったり、花柱が筒型であったりと違う部分も多く、仲間ではないことが判っています。
 日本では知床連山の一部や知床の一部の山に隔離分布しているだけ、あとは択捉島にもあるということが近年判りました。とても貴重なスミレですが 自生地では足の踏み場もないくらいに自生しているところもあります。
 

花の部分

白地に中央部は黄色という本州のスミレにはない花色です。側弁には短い毛があります。
距の部分

距は極短く黄緑色。 花弁の黄色は裏側まで浸透しています。
花柱の部分

花柱は筒型で、とてもシンプルです。このことから原始的なスミレではないかという見方もあります。
葉の状態

葉は厚く、ちょっと光沢があります。 葉の表は暗緑色。裏は淡い緑色。 両面とも毛は無い。
果実

果実は黒紫色。 写真奥の黒っぽいものがより熟している状態です。

受粉に関わる昆虫か?

花を撮影した画像を確認していたら小さな虫が花の中から出てくるのを見つけました。わずか数oですが花の受粉に関わる虫かもしれません?

そのほかの写真

2012.7.7 ザレ場に咲くシレトコスミレのイメージが強いですが、この個体はガンコウランの絨毯の中にぽつんと咲いていました。とても印象深い様子ですね。なんだか温々しているように見えます。
そのほかの写真

2012.7.7 小さな株でも花をつけていますが、周りの小石に埋まるように生育している様子が環境の悪さを感じさせます。