???類 地上茎なし

ナガバノヒナスミレ【仮称】 (長葉ノ雛菫【仮称】)

撮影地:関東南部(2010.4.10)
 見た目に雑種だと直感しました。 ヒナスミレのような清楚な色合いでした。【個体A】
交雑親種 ナガバノスミレサイシン × ヒナスミレ
生育地 ヒナスミレとナガバノスミレサイシンが混生する場所に希に発生?
開花時期 4月〜5月頃
草  丈 8〜15pくらい
花の状態 花色淡紅紫色。花弁の中心部は周りより薄くなる。
花形直径2〜2.5p前後と大柄。やや丸い感じ。花柱はカマキリ型。
側弁側弁には僅かに毛がある。
距 ぽってりと太いスミレサイシン型。
萼片毛は無い。僅かに切れ込みがある。 花柄に僅かに微毛。
葉の状態 葉形ヒナスミレの葉を長くした感じ。基部は心形で重なる。但し夏葉はV字形。
葉表緑色。やや光沢感あり。 但し、夏葉はつや消し。
葉裏緑色だが僅かに紫色を帯びる(夏葉は淡緑色)。葉脈などに沿って微毛がある。
托葉細長い三角形、少し鋸歯がある。赤味が強く肉厚。
備   考  見つけたときは直ぐに雑種と疑った。周辺のスミレの状況から考えるとナガバノスミレサイシンとヒナスミレの交雑種ではないかと思う。アケボノスミレは見つからなかった。
 この種間の交雑種はネットを調べてもほとんど見つからず特徴から同定が困難でしたので、スミレに詳しいY氏の助言により長期観察を決行。 結果、稔性はなく実は出来なかった、しかし閉鎖花が いくつか出てきていた。
 
 見つけたのは2個体で、個体A、個体Bとした。 花が付いていたのはA個体のみ。閉鎖花はA.B個体ともに出ていた。
 
 その後、秋に何度目かの調査をしにいくと株自体が消滅していた、猛暑でやられたか、盗掘。しかし周辺が綺麗に整理されていたことから近くの小屋の人が除草したのではないかとの疑いもある。いづれにしても 貴重な個体が消えてしまったのでその後の調査が出来ませんでした。
 
 ちなみに、Y氏と知人のツテで実現したI 氏の写真判定では「疑いあり」との仮結果が出ております。
 しかしながら品種として確定させるにはしかるべき研究機関や著名な専門家によりDNA判定など手続きを踏まないといけなく多額な費用もかかるということもありアマチュアレベルではこれ以上のことは 出来にくいようです。
 
 Y氏の助言により作成した観察記録のまとめも作成しました。周辺のヒナスミレとナガバノスミレサイシンの観察も記載てあります。 他にも見つかればこの記録が活きる時が来ると思います。
 
 
★2011年4月10日。まったく新芽も見当たらず、消滅か?
 
★2011年5月21日に駄目元で見に行ったところ、2個体が葉を広げているのを確認。生き残っていたようです。ただ前年度の同じ時期に閉鎖花を数個確認できましたが今回は0でした。このことから2011年は花が咲かなかった可能性もありますが、観察は続行します。
 
★2011年9月に再訪問。 昨年は完全に消えてましたが、今年はB個体がしっかりした株で残り閉鎖花は5〜6個確認しましたが、これまでに近々に実が成った痕跡は確認できず。
 A個体はかなり地上部は衰弱してましたが閉鎖花は1個確認。こちらも実の痕跡は無し。
 
★2011年10月に再々訪問。 A個体は消えてましたがB個体はまだ株として残ってましたが閉鎖花は見あたらず。9月の閉鎖花が実をつければ何か痕跡があるとは思いますがまったく有りませんでしたので雑種と同定してもいいと思われます。
 
★2012年4月1日に今年初訪問。A個体は不明だが、B個体が新葉を伸ばしてきている最中だった。花芽は見当たらず。
 
★2012年4月7日、21日に訪問。やはり個体Aは消えてしまったようです。個体Bもやや葉の出の勢いが衰えているように見えます。7日に花芽のようなものを確認したので2週間後に来てみましたが咲いたような跡はなく同じようなものが数個出てました。たぶん これも咲くことは無さそうです。
 
★2012年6月2日。A個体を確認。流れ込んだ土に埋まっていたようで遅くに新芽をだしたようです。B個体では閉鎖花のようなものが出てきていた。
 
★2013年4月6日。ワクワクしながら見に行きましたが花は無し。花芽らしき物も見当たらずでした。A個体、B個体とも健在で昨年の同時期より葉の数が増えていました。特にA個体は盛り返してきたようで来年は期待できるかも?
 
★2014年4月5日。今年こそはと勇んでいくと固体Aに花芽4つ確認! 固体Bに花芽なし。
★2014年4月13日。ついに4年ぶりに花が咲きました!! 花が咲くと盗掘が心配ですが、とにかく嬉しい! ただ2010年に見た花よりいくぶん小ぶりなのが気になります。
 
 
 

花の部分

2010.4.10撮影  ヒナスミレに似た淡いピンク色のスッキリとした色合いです。大きさはナガバノスミレサイシンくらいに大きいです。
距の部分

2010.4.10撮影  ナガバノスミレサイシンなどスミレサイシンの形態をしています。
葉の状態

2010.4.10撮影  どちらかというとヒナスミレに近いですが、長さがあります。花期の葉裏はやや紫色を帯び、脈に沿って少し微毛があります。
托葉の状態

2010.6.6撮影  葉柄の付け根の托葉はとてもしっかりしています。しかも赤味が強いのが印象的でした。
閉鎖花

2010.6.19撮影  花に稔性はありませんでしたが、閉鎖花は出てました。ただこれが膨らんだかどうかは確認できず・・・。
花後の状態

2010.6.6撮影  個体Aの花後1月後くらいの株の状態です。花期の葉はほぼそのままの状態で残り、夏葉が出てました。しかもやや形態が異なり基部がV字形です。
花後に出てきた夏葉の状態

2010.6.6撮影  夏葉はどちらかというとナガバノスミレサイシン型です。表面に艶はなく、葉裏の脈沿いなどに微毛が沢山見られます。
花期の葉と夏葉の比較

2013.5.18撮影  

2011年の状態。

2011.5.21撮影  消滅せずに残っていてくれました。これで観察を続行できます。 写真は「個体B」。個体Bは初発見時も花は無かったです。

2012年の状態。

2012.4.21撮影  今年も残っていてくれましたが初回に花を見た個体Aは衰弱してしまったようです。この写真の1週間前にも花芽のようなものが出てましたので1週間後に来ましたが花の咲いた跡は無く再び 同じようなものが出てました。なかなか花が咲く状態まで成長しないようです。来年に期待です。

2013年の状態。

2013.5.18撮影  【個体A】 昨年衰弱したのではと心配しましたがご覧の通りまだまだ健全です。それでも花は咲きませんでした。

2013.5.18撮影  【個体B】 こちらも葉数も多く健全で花がついてもおかしくないですが個体A同様、咲きませんでした。来年へ期待です。

2014年の状態。4年ぶりに開花!

2014.4.13撮影  【個体A】 4年ぶりに開放花をつけました!! 4輪開花。 咲かせたのは個体Aのみ。

2014.4.13撮影  【個体A】 4年前に比べるとやや小振りな花でヒナスミレに近い感じに見えます。距は変化無し。

2014.4.13撮影  【個体B】 健在ですが花芽はありませんでした。


2015年の状態。

2015.4.11撮影  【個体A】 遅い雪に合い葉が痛んでしまいました。花もつぼみらしき物はありましたが咲くことは無かったです。 個体Bは、消滅したのか、見あたりませんでした。